中国での部材調達

中国での部材調達

No.04 2006.08.27
日本メーカーの品質は世界一という認識は、世界各国からの評価であることは
周知の事実である。その世界一の品質を支えているのは、セットメーカーから
部品メーカーに要求される過剰品質いや異常ともいえる品質要求である。
耐久テスト20万回(部品がだめになる前に本体がおしゃかになるような要求)の
ような常識を逸脱した過剰品質に耐えているのが実態である。本日は、セット
メーカーの話ではなく部品調達のお話をさせていただく。


【中国での部材調達】

数年前までは、根幹部品を日本で調達し中国で組み立てを行う形式が多かったが、
セットメーカーの中国への大量移転から部品メーカー、素材メーカー更には
様々なサポーティングインダストリーが中国へ進出。中国進出日系企業では、
品質については日本と同等・価格は中国価格とういうことで、非常に厳しい
コストダウンを納入メーカーから要求されている。このような状況下、調達の
流れも香港・台湾・韓国系企業から中国系企業へと変化しつつある。

地場で部材調達を行っている日系企業でよく聞く話は:
(1) 価格は安いが品質が安定しない。
(2) 少量のオーダーには対応してもらえないことから大量発注となる。

特に日系企業で言われる問題点は、品質が安定しないことが大きな問題点と
なっている。納入業者に対しては、品質指導を行ったり、納入時に全量検品を
納入企業に指示しているが実際には実施されていない。このことから、自社に
納入された部材を再度全量チェックしている。このことから人件費等のコスト
が発生し、中国企業から部材を購入してもコストダウンとならないとの話を
よく聞く。

このような状況では、いくら中国系企業に品質管理や指導を行っても中国系
企業の部材調達が進まないので中国企業から調達は無理と判断していると言う
ことを耳にする。確かにそうかもしれないが、私がいつも申し上げているが、
もう少し目を変えることはできないか? 

【ボルトとナット】

最近訪問したある会社の総経理からおもしろいお話を聞かせていただいた。
上述と同じような状況で同社も対応に困っていた。中国系企業からボルトと
ナットを購入しているが、品質が安定しないことから全量検品を納入業者に
指示するが、納入時の品質については改善の兆しが見えなかった。当社も
ご多分に漏れず、納入後全量検品を行っていた。

ある日、同社の総経理が思いついた、ボルトとナットはセットで使うもので
あるから、納入業者にボルトを最後までしめさせ納入するように指示を変えた
ところ、不良品率が大幅に低下し、全量検品を必要としない水準にまでとなった。

中国系企業は、ボルトとナットを最後まで自社でしめることで、最後まで
しめられない場合は不良品であるとの認識ができるようになった。

これは、まさに発想の転換とわずかなアイデアではないだろうか?日系企業は、
いつも中国企業の品質が改善されないと嘆いているが、それはあくまでも日本的
考え方のみの見方を相手に押し付けていないだろうか?

中国企業の問題点ばかりを嘆くよりも、発注する日系企業がもう少し発想の
転換を図ってみてはいかがであろうか。きっと今までにない効果が現れるの
ではないか?

2006年08月27日

T.H.
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中国コンサルタントTHレポート
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