クレジットカード海外保険があれば安心だなんて大間違い。
こんにちは。サイト管理人「のむてつ」です。最近、有料の海外旅行保険の代わりとして、安易にクレジットカードの利用を勧めるサイトが多いようですが、ハッキリ言って大間違いです。
私自身、7年間の海外生活の中で、何人もの海外旅行者や出張者を見てきたので分かりますが、 クレジットカードに付帯されている海外旅行保険では、いざという時に役に立たないケースもあります。
その一方で、日程や渡航先など、条件によっては、あるいはカードの活用の仕方によっては、 海外旅行保険の代わりとなり、保険代を節約できる可能性もあります。
このページでは、クレジットカード付帯の海外旅行保険についてハマりやすい落とし穴について解説していきます。
※このテーマはいざという時のダメージが大きいものなので、自分自身の経験と調査をもとに 出来る限り正確に情報をまとめてはいますが、100%完璧であるとは保証できないので、 不明な点はカード会社に確認するようにしてください。
7つの落とし穴
クレジットカード海外旅行保険を使うときの 注意点は、7つあります。
- 3ヶ月(90日)が限度
- 病気で死亡したときはダメ
- 保険付でもケガや病気は保険対象外のカードもある
- カード1枚では保険金は不足
- 「最大補償額」というワナ(というか詐欺に近い)
- 保険が自動で有効になるもの(自動付帯カード)と、そうでないもの(利用付帯カード)がある
- 医療費キャッシュレス診療サービスがない?
では、一つずつ解説していきましょう。
1.クレジットカード海外旅行保険は3ヶ月が限度
これは、どのクレジットカードも同じで、1枚のクレジットカードの海外旅行保険の有効期間は、90日までになっています。
ほとんどないですが、たまに60日が限度のカードもあります(リクルートカード+、あとはSuMi TRUST CLUBカード=旧シティカードなど)。必ず自分の持っているカードの保険の有効期間を確認しておきましょう。
90日以上の海外滞在の場合は、一般の有料海外旅行保険に加入しましょう。
※と、今まで書いていたのですが、リクルートカード、SBIゴールドカードなど、下の6で説明する「利用付帯」カードを利用することで、90日以上をカバーする裏技を見つけました。こちらにまとめてありますので、どうぞ。→【参考記事】利用付帯カードで90日以上を狙う裏技と注意点
2.病気で死亡したときはダメ
これも、なぜかよくわかりませんが、 クレジットカード付帯の海外旅行保険では、 『病気での死亡』は保険対象外となっています。私もいろいろ調べましたが、全てのカード付帯保険で対象外です。
ただ、これに関しては、そんなに重要ではないと私は考えています。 死亡時の補償というのは、3ヶ月以内の旅行で使う確率は非常に少ないです。 ひどい病気にかかったら、帰国すればいいわけで、そのまま死亡してしまうのは、 かなりレアなケースだと思います。
なので、疾病死亡の補償がなくても、そんなに気にしなくてもいいのではないかと思います。 必要と思う方は、すでに生命保険に加入している人も多いですしね。
どうしても欲しい、という場合は、「バラ掛けの有料保険で、死亡補償だけかける」という方法もあります。こちらの記事で解説しています。⇒「疾病死亡」補償が欲しい⇒保険料の安さで比較|海外旅行保険比較節約研究所3.保険付でもケガや病気は保険対象外のカードもある
これは、要注意な項目です。
「私のカードは海外旅行保険がついているから大丈夫♪」
と思っていても、実は、カードによっては海外旅行保険でもらえる保険金が非常に少ないことがあります。カードによって海外旅行保険の補償額は、全然違うからです。
必ず、自分の持っているカードの海外旅行保険の保険金額(補償額)を確認しておきましょう。
↓こちらのサイトにまとめておきました。一覧にしてあるので、比較しやすいと思います。
http://choro.asia/creditcard.htm
そして、その一覧表を見てビックリすると思うのですが、カードによっては、 死亡のときしか保険でカバーされいないカード、なんてのもあります。
(実例)
カード 名 |
事故死亡・後遺障害 | ケガ病気治療費用 | 賠償責任 | 持ち物 の損害 |
救援者 費用 |
○○ カード |
1000万 | なし | なし | なし | 100万 |
つまり、病気やケガの治療費は保険の対象外になっているんです。 ホントひどいです。(航空会社系の、J●L一般カード、A●A一般カードなどは要注意) (ちなみに代表的なヤバいカードは、このへんのカードです)
下に保険が最高レベルのカード(でも年会費無料)の表がありますので、比較してみてください。 これくらい、カードごとに違いがあります。
海外旅行保険つきカードなら何でもいいわけではない ということがわかっていただけたと思います。しっかり内容を理解して選ぶことが重要です。
4.残念ながらカード1枚では保険金は不足する
年会費完全無料のクレジットカードの中で、最高の海外旅行保険を持つカードの保険金額がこれです。
カード 名 |
事故死亡・後遺障害 | ケガ病気治療費用 | 賠償責任 | 持ち物 の損害 |
救援者 費用 |
エポス | 2000万 | ケガ 200万 病気 270万 |
2000万 | 20万 | 200万 |
これに対し、アメリカの医療費がコレです。
都市名 | 救急車 の料金 |
初診料 | 骨折の 治療費 |
病院部屋代 <日額> |
盲腸手術総費用 (平均入院日数) |
ロサンゼルス | 基本料4.2万円 +1500/マイル |
1.8万円 | 6.5万円 | 相部屋:16万円 個室:27万円 ICU:43〜65万円 |
160万〜217万円 (2日) |
日本 | 無料 | 2700円 | 1.5万円 | 相部屋:1.7万円 個室:2〜5万円 ICU:8.8万円 |
40万円 (4〜7日) |
(日本人旅行者が利用することが多い私立の医療機関を中心の調査)
これを見ると盲腸レベルの入院で、保険金が足りなくなる可能性があることがわかると思います。
では、やっぱり、クレジットカードだけで海外旅行保険を済ませることは無理なのか?
いえ、実は、そんなこともないんです。クレジットカード海外旅行保険だけでまかなうことは可能です。ただし、使い方に少し工夫が必要です。
その『工夫』というのが、 海外旅行保険クレジットカードの複数持ちです。
海外旅行保険つきのクレジットカードを2枚以上持っていた場合、『ケガ死亡・後遺障害』の項目を除き、保険金額は、上乗せされます。(参考記事:http://choro.asia/creditcard.htm)
さきほど、『病気死亡』のところでも書きましたが、 死亡補償に関しては、使う確率も低いので、そんなに気にすることはありません。
それよりも、海外旅行保険の中で、最もお世話になる確率の高い、 『病気やケガの治療費』や、『持ち物損害の補償』などの額のほうが重要です。
それらの額は、カードを複数持っている場合は、加算されます。 (ただし、ニコスカードが2枚など、同じブランドのカードの場合は加算されないことがありますので、入会前に必ず確認しましょう。)
このような感じです。
カード 名 |
事故死亡・後遺障害 | ケガ病気治療費用 | 賠償責任 | 持ち物 の損害 |
救援者 費用 |
エポスカード | 500万 | 200万 | 2000万 | 20万 | 100万 |
楽天カード | 2000万 | 200万 | 2000万 | 20万 | 200万 |
JCB EIT | 2000万 | 100万 | 2000万 | 20万 | 100万 |
↓多いものが限度 | ↓加算 | ↓加算 | ↓加算 | ↓加算 | |
合計 | 2000万 | 500万 | 6000万 | 60万 | 400万 |
※ただし、楽天カードだけは、保険が利用付帯なので注意してください。「利用付帯」に関しては下の5番で説明しています。
上の4枚は、最も海外旅行保険が充実しているカードなので当然ですが、 これくらい保険金があれば、多少医療費の高い国の旅行でも安心です。 上海などのアジアでしたら、上の2枚だけでも大丈夫そうです。
~~~(2016年6月追記)~~~~~~~~~~~~~
世界各国の医療費を調べ直したところ、高額な医療費がかかったケースは、ほとんど全て、飛行機での医療搬送が関わっていることがわかりました。医療搬送の価格は、数百万〜3000万円くらい(距離と方法による)。ほぼ半数がシニア層(65歳以上)で、病気としては脳梗塞などの脳関連、心筋梗塞などの心臓関連が多い、というデータが出ています。
以上のことから、
●医療費の高いアメリカ合衆国
●医療水準が低く、日本や近隣先進国に医療搬送の可能性がある国
●シニア層の人
この3点に当てはまる人は、カード付帯保険だけでは足りなくなる可能性があるので、有料保険をおすすめします。
参考記事:バラ掛け有料保険比較
~~~(2016年6月追記おわり)~~~~~~~~~~~~~
また、その他にも、クレジットカードを2枚以上持っておくといいことがあります。
それは、海外では、地域ごとに、 VISAのカードを受け付けておらずマスターカードのみだったり、 その逆だったりすることがあるからです。 (私が住んでいた中国は、まさにこの典型です)
JCBが海外では受け付けてもらえないことが多いのは有名だと思います。 (でもJCBは、JCBプラザという日本語での現地相談所のようなサービスがあるので、海外で持っておくと重宝するのも事実)
こういう意味でも、カードは最低2種類持っておいたほうがいいのです。
その他にもカードが複数あったほうが良い理由がありますが、 詳しくは、こちらの記事を参考にしてみてください。 (参考記事:海外旅行に複数クレジットカードカードを持つべき理由)
5.「最大補償額」というワナ
クレジットカードを選ぶときの落とし穴です。
クレジットカード付帯の海外旅行保険は、あくまで、「ふろく」です。 カードの紹介ホームページに、そんなに細かいところまで、書いていないこともよくあります。 ただ単に、
「海外旅行保険は、最高2000万円まで補償」
と書いてあることがあります。
そのときは、注意してください。
これは、『何でもかんでも、2000万円まで補償してくれる』という意味じゃないからです。
海外旅行保険は、トラブル別に、保険金額が決まっているからです。
例えば、
●ケガで死亡したときは、最大2000万円まで
●ケガ・病気治療費の場合は、一つの病気やケガにつき200万円まで
●持ち物の損害の場合は、一回の旅行で20万円まで
というようになっているのです。
そして、ビックリするのですが、カードによっては、『最高2000万円まで補償』と宣伝しておいて、実は、死亡のときしか保険でカバーされいないカード、なんてのもあります。
(さきほども書きましたが)
カード 名 |
事故死亡・後遺障害 | ケガ病気治療費用 | 賠償責任 | 持ち物 の損害 |
救援者 費用 |
○○○カード | 1000万 | なし | なし | なし | 100万 |
つまり、一番使う確率の高い、病気やケガの治療費は保険の対象外。二番目に確率の高い、賠償や持ち物に関しても、対象外。 これじゃ、海外旅行保険の意味ないですよね。
さきほども書きましたが、要注意カードは、↓こちらでチェックできます。
http://choro.asia/creditcard.htm#caution
ということで、必ず、カードを選ぶときには、
『疾病傷害補償費』(=病気ケガ治療費)
『携行品損害』(=持ち物損害)
などの、使う確率の高い補償額(=つまり、ケガ病気の治療費の額)を
チェックするようにしてください。
参考:ケガ病気治療費で比較したクレジットカード海外旅行保険比較
6.保険が自動で有効になるもの(自動付帯カード)と、そうでないもの(利用付帯カード)がある
もう一点、クレジットカードを選ぶときに注意してほしいのが、 海外保険が『自動付帯』か『利用付帯』どうか、という点です。
海外旅行保険が『自動付帯』のクレジットカードですと、海外旅行に行くと、自動的に、海外旅行保険がスイッチオンになります。 行けば勝手に、保険加入になるので、これは全く問題ないですね。
では、『利用付帯』つまり、『自動付帯』ではないカードはどうなのでしょうか?
『自動付帯』ではないカードは、海外旅行保険が有効になるために条件があるんです。 海外旅行の費用や、海外旅行に行くときの公共交通機関の費用を クレジットカードで支払ったときだけ、海外旅行保険が有効となる という条件です。
実は、こういう条件付きカードは、結構あります。半数くらいのカードがそうでしょうか。
上の表で紹介したカードは、エポスカードが自動付帯、楽天カードが利用付帯です。
(参考リンク:[公式]エポスカード
[公式]楽天カード)
この『利用付帯』か『自動付帯』か、という問題は、カードの海外旅行保険が、もともと、 クレジットカード利用を促進するための「ふろく」であるため、 しかたないと言えば、しかたないですよね。
4で書いたように、クレジットカードを2枚以上持つ場合は、 『自動付帯』のカードを選んでおかないと、保険金を上乗せすることは難しいですので、 この点は、十分に注意してくださいね。
ただし、『利用付帯』のカードには、実は隠された裏技が使えるカードがあります。 この裏技、「普通は90日が限度のカード付帯海外旅行保険で90日以上いける」 というものです。留学や長期滞在に良いですよね。
楽天カードはダメなのですが、リクルートカードなどで使えます。
詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。
【参考記事】利用付帯海外保険カードで90日以上を狙う裏技と注意点
7.カード海外保険には医療費キャッシュレス診療サービスがない?
「クレジットカード海外旅行保険には、キャッシュレス診療サービスはない」
これは、実は、私も、 何かのサイトで見て、ずっと思い込んでいたことです。
いえ、実は、キャッシュレスサービス可能です。
正確には、キャッシュレスサービスが可能なカードと不可能なカードがあります。
(2013年5月時点で、複数のカードで確認済)
参考:キャッシュレス診療OKのクレジットカード一覧表
そもそも、『医療費キャッシュレスサービス』というのは、 海外保険会社が、本人に代わって、病院で医療費を支払ってくれるサービスです。 これがあると、手持ちのお金がなくても、病院で診てもらる、という有難いサービスです。
クレジットカード海外旅行保険で、医療費キャッシュレスサービスを受けたい場合は、 まず、そのクレジットカードの海外サポートサービスに電話することです。 そうすると、キャッシュレスサービス可能な病院を紹介してくれます。
飛び込みで入った病院で、「キャッシュレスにしてくれ!」と言っても無理です(笑)。 キャッシュレスサービスは、保険会社との提携病院でしか、できないからです。
また、海外でも田舎に行った場合は、提携病院がないという理由で キャッシュレスサービスが受けられないことが多いようです。 (私も、中国の地方で経験済み。涙)
ただ、この点は、一般の有料の海外旅行保険でも同じですので、仕方ないですよね。
まとめ
結論としては、この5つの条件、
- 3ヶ月以内の海外旅行
- 病気での死亡は補償されなくてもいい
- 保険金が充実しているカードを持っている
- カードを複数持っている
- カード海外保険が自動付帯である
以上を満たしているときは、安心してクレジットカードだけで海外旅行保険を まかなえるということです。
以上、参考になりましたら、幸いです。
最後に、もう一度、海外保険が最高の3枚のカードの表を掲載しておきます。 上手に海外旅行保険を節約し、充実した旅行にしてくださいね!
カード 名 |
事故死亡・後遺障害 | ケガ病気治療費用 | 賠償責任 | 持ち物 の損害 |
救援者 費用 |
エポスカード | 500万 | 200万 | 2000万 | 20万 | 100万 |
楽天カード | 2000万 | 200万 | 2000万 | 20万 | 200万 |
JCB EIT | 2000万 | 100万 | 2000万 | 20万 | 100万 |
↓多いものが限度 | ↓加算 | ↓加算 | ↓加算 | ↓加算 | |
合計 | 2000万 | 500万 | 6000万 | 60万 | 400万 |
もっといろいろなカードを比較して決めたい場合は、
↓こちらで、
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また、子供や配偶者、同居の親族などもカバーする保険
(=家族特約付きカード。ただし年会費1万円以上がほとんど)が良い方は、
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