第八回 生活が単調?日中ミックスの農民画出現
前回の記事からすっかり間が長くなってしまいました。 実はその間に農民画院を卒業し、 農民画師としての認定証もいただきました! これからも絵を描き続けるとともに、 農民画の魅力を語っていけたらと思います。 よろしくお願いします。 さて、第1作で「上海浦東」を描いた後、 第2作は日本の風景を描くというテーマをいただきました。 今回はその卒業制作2作目の「日本風景」についてです。 金山の先生方は外国人である私が金山農民画を習うからには、 普通の農民画ではない創作を期待されていたようです。 例えば現代若者のライフスタイルとか、外国の風景とか...。 そうしたことも踏まえて2作目の課題として 「日本風景」が出されたようなのですが、 今度こそ普通の農民画が描けると思っていた私にとっては、 またまたそこから離れてしまうお題。 どうしたものかと考えていたのですが、 日本といえばやはり桜に富士かなぁ〜と思って 「富士を遠望する古城の桜」といたしました。 ちなみにお城は以前千鳥ヶ淵での お花見を思い出して江戸城にしました。 (農民画2作目の作品「日本風景」) 私は自分で言うのもなんですが、構図は割と上手いので、 全体のスケッチはすぐに先生のOKをいただきました。 しかし細かいところで修正が・・・。〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜修正1
お花見なのでにぎやかにしなければいけません。 お城の前の橋にひとがいっぱい見上げている絵...というかんじにしました。 ところが! 先生曰く「コトー、傘をさしてる方が雰囲気でるぞ」 ということで傘を追加。そして服装や髪型も陸先生ふうに修正された結果、 見事に「東京観光している中国人」ができあがってしまったのでした! ちょっと日本人のイメージと違うんですけど... という私の問いへの先生への回答 「そうなの?日本人ってこういう服とか傘使わないんだ?」修正2
先生曰く 「絶対蓮も描いたほうがいい」 「月も!家族円満の象徴だから」 中国の方は吉祥物を大変好みますが、 それをさりげなく入れるのも農民画のポイント。 さっそく追加してはみたのですが... あれあれ、蓮と桜は開花時期同じだっけ?? 調べてみると全然違うことに気づき、 「じゃあ桜はなしだなー」という先生の意見であえなく 桜は葉桜になってしまったのでした...。 これはいつかきちんと桜で描きなおしたいですね。 (ぼかしのテクニックを教えてくれる陸先生) さて、今回「東京観光をしている中国人」を描いていたときに、 それを見た先生がぽつり。 「コトー、お前の生活はひょっとして会社と家の往復で単調になっていないか」 ドキリとしました。 まさにその通りだったからです。 先生曰く「お前の描く人物には動作や表情に豊かさがない。 絵には描いた人の生活や心が反映されるから、見ればすぐわかるよ」 このときは本当にびっくりしたのですが、 後から農民画は先生と弟子の密接な相互理解のもとで学習する画と知り、 先生の鋭い洞察力に驚かされました。 確かに私の描いた人物はぼーっと立っているだけで、 そこから何のストーリーも感じられませんね。 例えばこの場面なら、迷子になっちゃった子、その子を探している親、 いいかんじにヨッパッラッタおとうさんたち。 写真をとっている家族...などがいてもよかったですね。 農民画は「生きる喜び」を描くものなのですから。 (表情がないと指摘された人物...確かに) 先生のところに通い、毎晩たくさんの(見知らぬ)ひとたちと飲み、 彼らのお誕生日やパーティなどにお邪魔させていただいて、 私も今はもう少し味のある絵が描けると思います。 絵だけではない、大きなものを学んだ2作目でした。
コトータケヒコ
上海在住の会社員。仕事の傍ら週末に金山に通い、
農民画家・陸永忠に師事。09年5月金山農民画院より
外国人第一号の金山農民画師に認定。日本農民画協会会員。
ホームページ(移転しました):http://nominga.net
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カテゴリー:金山農民画家への道