NYイーストヴィレッジの少し変わった靴屋さん
「East Village Shoe Repair」 No. 9 2005.08.25
「変わるイーストビレッジ」
お店の常連とオーナーとの話題はすっかりこのビルの話。長年イーストビレッジを出入りしている人々にとってはやはりしっくりこないようです。 イーストビレッジと言えば、パンクロッカーやアーティストが集まる街であり、公園では社会運動、人権運動、 デモ活動が行われる危険なムードがあふれる街であり、そして麻薬の街でありと物騒なものだったのです。 それゆえ、あまり普通の人は近寄らなかったため家賃も安く、刺激的なこの街がお金のない若者やアーチストの卵達にはもってこいだったのでしょう。 ジュリアーニ市長が就任する前は、道で物を売るのも自由だったわけで(今は違法)、たくさんのアーティストの露天だったり、 ホームレスが何かを売っていたり、バンドが勝手に演奏していたり混沌としていたそうです。 今ののほほんとしたイーストビレッジとはかけ離れている気がしますが、以前は本物のクールなアーティストがたくさんいたのは事実でしょうね。 そんなクールなエリアに住みたいと若者が集まってきたのを逆手にとってどんどん商業化していってしまった、といったところでしょうか。 イーストビレッジは本当に家賃が高くなってしまいました。実は私たちのお店があるブロックで15年残っているのは、 うちとパンクロックのお店“ The Trash and Vaudeville ”と靴下屋さん“ Sock Man “のみ。 たくさんの個性的なお店がそのようなどんどん理由で閉店してしまいました。 有名な歴史のあるライブハウス”CBGB”も閉店してしまうそうで“SAVE!CBGB”とイベンとやコンサートも多く行われている状況なのです。 “ここら辺もレントがどんどん上がるけど、とても普通の労働者やスモールビジネスを経営する人々が払えるような額じゃない。普通じゃないよ。 本物のアーティストも皆引っ越してしまったし、常連客も見かけなくなった。 ここ数年でこのネイバーは変わったよ。新しいレストランが立ち並んでまるでショッピングモールみたいじゃないか。 なぜ、ここまで変える必要があるのかね。ここで生まれた音楽や文化を慕って世界中の人が集まるんだからそのまま残せばいいのに。 今ある金は今、全部取る、それがアメリカ流なのかね。”
オーナーが言います。 “窓の外を眺めて見えるのがホームレスとパンクキッズだし、ドラッグディーラーは歩いているし” なんて皮肉を言うお客さんもいます。アメリカではお金を払って、安全を買うという志向が強いのですが、 ここでは高いお金を払って部屋を借りてもそんなに治安は良くないし、夜は騒がしいしなんだかなあって思ってしまうのです。 もちろん昔に比べたら安全ですし新築できれいなアパートが増えましたが、ものすごい値段になってしまいます。 最近HBOか何かで面白いドキュメンタリーを見ました。麻薬中毒者たちがどんな風にお金を手に入れドラッグを手に入れているか、 その生活ぶりを追ったもので舞台はもちろんイーストビレッジ。私たちにはおなじみの風景。そしてよくストリートで見る顔が・・・。 近所のお店のトイレで、アパートメントのエレベーターで注射針を腕にブスブスさしていきます。 アンダーカバーコップや売春婦に成りすまし、人をだまして得たお金を全部ドラッグに使ってしまう人々。 この人たちも私たちのネイバーなのですよね。こんな現実を毎日見ているお客さんたちが嫌味を言いたくなるのもわかります。 だって、1000万ドルの部屋に住んでいても、ネイバーにはドラッグでハイになってフラフラ歩いている人がいるのですから。
“このまま行くと絶対アメリカでレボリューションか何かが起きるね!”とお客さん。 PS.そういえば、イーストビレッジの待ち合わせの名所でもあった、 アスタープレイス駅前の大きなキューブ型のオブジェ“アラモ”もなくなってしまった・・・親しみある風景が消えていくのは寂しいものですね。
ユカの『イーストヴィレッジ』 |
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