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イーストヴィレッジでカスタムシューズを作っている
少し変わった靴屋さんです。
NYイーストヴィレッジの少し変わった靴屋さん
「East Village Shoe Repair」 No. 19
2006.10.14

「寄付金の行方は!?」


    あるスクウォーターの少年が、映画を見に行きました。“Jackass Number 2” (ジャッカスナンバー2)という、ジョニー・ノックスヴィルという人が中心 となって危険な事をひたすらするというおバカなテレビ番組(MTV)の映画版 の第二弾なのですが。映画館にあったスーベニア類、カンバッチやステーカー などを大量に盗む事に成功!さっそく路上で売り始めたのですが、そこは頭を 使ってヒトヒネリ。“フィラデルフィアに帰るのにお金が必要です。どうか、 これらの品物を買ってください!”と始めたのです。

    “値段は1ドルでもクウォーターでもOK! とにかく家に帰りたいんです。 “とまあ、演技力も達者で次から次ぎへと嘘のオンパレードで、オーナーも” よくやるよ”と呆れ顔です。盗んできた商品売ると言う事は元手はゼロ円(ドル)、 ゼロからどこまでのお金に化けるのか!まあ、様子を見てみることに。

    そこに一組のカップル登場。彼の方が商品に興味を持ったようです。
    “それなんのステッカーなの?”
    “これは有名なバンドのステッカーさ!”(嘘)
    “実は僕もフィラデルフィア出身なんだけど、どこら辺に住んでいるの?”
    “あーウェストの方だよ”(大嘘)
    “あーもしかして○○の近く?”
    “えーそうそう!”(・・・)

    それをジーと見ていた彼女、いきなり何も言わずに50ドル(!!)を彼に 差し上げたのです。しーん・・・と妙な空気が一瞬流れ、スクウォーターの 少年も唖然・・・。そこに、彼が一言“コレ貰っていいんだよね?”と、ぽそり。 商品をひたすら物色し始めました。彼女がお金をあげたのに商品欲しいんだ・・・ と私もオーナーも大笑い。(ちょっとせこいかななんて。)しかし、なんなく 50ドルをゲットした少年.なかなかのビジネスマン!?ですねえ。

    セントマークスにはたくさんのスクウォーターやホームレス達がいて、その 生命力というかサバイバル生活は凄まじいものがあります。嘘をついたり物を 盗んだりするのは悪い事ですが、結構頭がいいんですよね。学歴がなくても ストリートから得た経験、知恵を使って毎日の食事にありついているのです。

    このように道行く人々から貰ったお金は、その日の食事代になったり、洋服 を買ったりする(NYの冬は寒いので意外に重要。)のに使われ彼らを助ける 事になります。頭のいいホームレスの人達はお金を貯めてYMCAなどの会費を 払い、定期的にシャワーを浴びるなどして清潔にしています。しかしながら、 彼らの多くはドラッグの常習者であるという問題もあります。クラックコカイン という安いドラッグをやり、あっという間にお金を使ってしまうのです。

    例えば、ホームレスでこんな人がいます。彼はたまにうちのお店にレザー ジャケットやパンツ、ブーツなどを買いに来るのですが、一度、どうやって お金を稼いでるの?と聞いてみた事があります。彼いわく、一日かけて50 ストリートの5番街あたりからタイムズスクエアの方に行ってイーストヴィ レッジに戻ってくる間に、物乞いをして歩いている間に100ドルぐらい稼ぐ のだそうです。それだけホームレスにお金をあげる人が多いのですね。また、 政府からも補助金ももらえる(今はもうカードになっちゃいましたがフード スタンプってやつですね)ので、まあまあ不自由はないと言います。うちで レザーのジャケットを買う時もポンと30−50ドルだして買います。

    しかし彼は麻薬中毒、普通にしていればまあまあひと月やっていけるお金を 手に入れることができるけれど、それを食事の変わりにドラックに使って しまうのです。ちなみにNYのデリではフードスタンプを現金に換えてくれる ところが存在します。もちろん違法行為で、300ドル分のフードスタンプ を現金に換えると半額の150ドルになってしまうのにもかかわらず、 フードスタンプではドラッグが買えませんから薬ほしさに損をするとわかっ ていても現金に換えてしまうのです。また、どうしてもドラッグが欲しく ってたまらなくなるとうちで買ったレザージャケットなどを道で売ってしま います。中毒というのは悲しいですね。5ドルでも10ドルでも現金に変え たいのです。そして、必要になったらまた新しい物を買い、そして売りの 繰り返しなのです。

    路上や公園で暮らす人々の中には精神的におかしくなってしまったり、何か 体に障害があって家族に見放されてしまったというような本当にかわいそう な人達もいます。そんな人達の中に混ざって嘘をついたり物を盗んだりして いる人達がたくさんいるのですから困ったものなんですけど、ビジネスと 割り切ってひょうひょうとしている彼らの神経の図太さにあきれるような、 なぜかちょっと笑っちゃうような・・・。彼らの迫真の演技力にお金を あげたという事にして、流しておくしかないですね。セントマークスの路上 のエンターテイナーに愛の手を・・・。

    アメリカのニュースでこんな特集がたまに放送されます。アメリカには たくさんの寄付を集める団体がいるにもかかわらず、実際そのお金が使わ れているのはほんの10−30%その他の寄付金は何に使われているのか 全く不明っていう話。もちろんちゃんとした団体も存在しますが、寄付する 前にその団体の事をちゃんと調べましょうというわけです。ホームレスに あげようが寄付団体にあげようが、どう使われているか不明の善意のお金。 深く考えてもしょうがないんですけどね。

    2006.10.14

    ユカの『イーストヴィレッジ』
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    ユカ
    East Village Shoe Repair
    http://vintagecustom.00freehost.com/
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書・木村怜由

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