
NYイーストヴィレッジの少し変わった靴屋さん
「East Village Shoe Repair」 No. 2006.08.12
「嫌われ者の少年」
その店員さんは普段は静かで物腰が優しい人。普段は自分の服を寄付したり、お金の無い若者を助けたりしているタイプの人です。 そんな彼が怒り狂っているものだからそうとう頭に来たのだろうと皆黙認。 一部始終を観察しているとこの少年はやせっぽちなので殴られるタブにバーンと投げ出され、 店員さんはいつもたくさんの指輪をはめているものだから、そのおかげで殴られたときに耳の辺りが切られて流血しているのでした。 殴られた拍子にうちのお店まで飛ばされてきたのですが、オーナーは“うちの店に入ってくるなー!”と一言、 それに驚いた少年はすごすご逃げていきました。すさまじい・・・。 後からどうしてあんな事になったのか聞いてみると、あの少年がお年寄りのホームレスから物を盗もうとして、 それを見かけた心の優しい店員さんが止めるように言ったところ、少年は店員さんに向かってなにか暴言を吐いて逃げようとしたため、 店員さんは頭にきてしまったのです。それを見ていた周りの人々も少年が悪いのは明らかだし、 助ける理由も無いので放っておいた、と言う事らしいのです。 初めて彼がお店に来たのは3年くらい前でしょうか? うちのお店に置いてある怪獣のぬいぐるみのバーニーを皆様覚えてくださっているでしょうか? (バックナンバーかうちのウェブサイトを参照にしてください)彼はバーニーを意味も無く殴りはじめたのです。 実はバーニーはお店の外に出している靴を陳列している棚を支えるように固定してあり、 バーニーをそんな風に叩いたら棚が壊れてしまうんですよね。そこで、オーナーは立ち上がって叫びました “二度とうちの店に来るなよ!”少年はその時は退散しましたが、その後もちょこちょこっと来てはバーニーにちょっかいを出していました。 またまた頭に来たオーナーが“来るなって言っただろう!” と怒鳴るとお店にいた常連のパンク少年が言いました“この人の店にちょっかいだしたら俺がお前の事ぶん殴るからな!” “あの子の事知っているの?“と聞くと”俺、あいつの事が大嫌いなんだ!”との事。理由はこうです。 少年は家出少年でアップステイトのほうで育ったたぶん裕福な家の子でした。しかしながら、 家出をしてイーストヴィレッジに住みつき、今は公園で寝泊りをしています。 そんな少年をかわいそうだと思い、お店の常連のパンク仲間達は食べ物をあげたり、住むところを探してやったり、 色々世話をしていたのです。しかしながら少年は仲間からお金や物を盗んだりと恩をあだで返すような行動を繰り返し、 とうとう誰も彼を助けなくなったと言うのです。 イーストヴィレッジに集まる若者の中では、特に隣の州から来た学生などに多いのですが、 お酒を飲んで大きな声で叫んだり、タフに振舞ってみたり。喧嘩を吹っかけてみたり。 いわゆる自分からトラブルを作ってそれがクールだと思っているタイプの子達がいます。 どうしてそんなことをするのかといえば、やっぱり他人の気を引きたいという事なのでしょう。 自分をクールに見せたいけれどどうしたらいいのかわからないのです。 また、田舎から都会に来て親元を離れてめちゃくちゃしてみたいとも思うものです。 しかし、大体の子達はちょっと年をとったら変わっていくものです。大人になったら子供の頃はバカな事をしたなと笑っているかもしれません。 では、あの公園でいつも寝ている少年は変わるのでしょうか?それとも嫌われ者のままなのでしょうか? 散々殴られた後、少年はかなり弱っていたようでした。警官に助けを求めましたが、 警官も一部始終を見ていたので店員さんをそのまま仕事に戻らせました。逆に少年に “おまえ、ID持ってんのか?”と事情聴取を始めましたが、家出してきた彼はIDなんて持っていなかったのでしょう。 少年は“アーアー”と言葉にならないような声を上げているだけで、そのうち警官も置き去りにして行ってしまいました。 置き去りにされたときに彼は一体何を感じていたのでしょうね。行き場の無い少年少女達の溜まり場イーストヴィレッジ。 何年か前よりは静かになったものらしいですが、このような少年を見かけるとまだまだイーストヴィレッジならではの不思議なノスタルジーを感じるのでした。
PS
ユカの『イーストヴィレッジ』 |

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