
NYイーストヴィレッジの少し変わった靴屋さん
「East Village Shoe Repair」 No.17 2006.04.23
「パスオーバー」
パスオーバーになると、お客さんが毎年、モッツァを持ってきてくれます。 モッツァとは、いわゆるクラッカーの事で、エジプトからユダヤ人が逃げる ときに食べて飢えをしのいだと言われるものです。普段からも気軽に買える のですが、このお客さんはわざわざパスオーバー用に手作り風のちょっと高級 なモッツァを持ってきてくれるのです。ちょっと焦げ目がついていてとって もおいしいです。(味的には本当にプレーンなのですが、噛むごとに深い味わい です。)この方がモッツァを持ってきてくれると、もうパスオーバーかあと 感じるものです。(ちなみに、エジプトから逃げるときに急いでイーストなし のパン生地をもって逃げたものがモッツアの原点であり、パスオーバーの時 にはイースト入りのパンは食べられないどころか、家においておく事もできま せん。そう、パスオーバーといえばモッツァなのです。) イーストヴィレッジにはユダヤ人たちのお店が以外に多かったりします。もう 閉店してしまいましたが、イーストヴィレッジのランドマーク的お店だった セカンド・アヴェニューデリが有名でした。また現在でもホーストン通りの カッツ・デリカッセンなどがあり、ユダヤ人居住区とみなされるところもある そうです。そのせいか、私たちのお店でも多くのユダヤ人に会う機会があり、 日本に住んでいたころには触れる事のなかった文化を体験することがあります。 ユダヤ教のお正月にはいつもお店にお祈りをしに来てくれる人もいました。 (今はラバイになるからといってアイオワの田舎に引っ越してしまいましたが、 元気かなあ) この人類最古といわれる宗教ユダヤ教では“信じるものは救われる”ではなく、 “規律を守る”という事を常に行なう事で救われるとされています。ユダヤ人 たちの規律はそれをは厳しいもので、徹底しているのです。わざと決まりを 厳しくしてそれを実行する事で人間として厳格に生きていくということです。 古代の時代は今のような社会ではなく、どちらかといえば野蛮な世界だったの でしょうか?、なんとなく納得できますよね。ユダヤ人とはそのとっても厳しい 決まりを守る事により大昔とほとんど変わらない生活をしている人達と言えます。 もちろん、ユダヤ教にもたくさんの宗派があり、かなり厳格に守っている人達、 あんまり守っていない人達といますが・・・。よくもそこまでと本当に感心 してしまいます。 ここまでしなくても!とは思いますが、それぞれ自分にあったやり方で生活に 自分自身で決まりを作ってそれを守るようにするのはとても良い事。周りを 見渡してみると、実は世界最古の宗教ユダヤ教の基本は、自立したニューヨー カーが率先して行っている事の基本と同じかも!?と感じることもあります。 誘惑の多い都会の生活の中で自分自身に決まりを作って、守ってみる、それが 習慣になると気持ちが良い!と感じる人がたくさんいるようなのです。例えは、 毎朝マラソンをしたり、ヨガをやったりする事でリフレッシュしている人、 ベジタリアンの人々などなど。現代人だってそういうことを自然に本能で求め ているものなのかなあと思います。 そういえば、最近アメリカではこんな本が人気がありますよ。それは4アグリー メント・トルティック・ブックといい、メキシコのトルティック族に伝わる 4つの決まりを紹介しているものです。(日本でも翻訳版が出ています)
1. 正しい言葉を使うこと この決まりを守るのってとっても難しいと思いませんか?日常、私達はいつも 会話をするとき、気分によって心にに無い事を言って人を傷つけてしまったり、 ○○さん、こうは言っているけど本音なのかな?と自分本位で相手の言葉を受け 取って思い込みをしたり・・・言葉を使うのって難しいなあって思いますよね。 この本はこの4つの決まりを守ると本当の自分自身になれ幸せになれるという ものです。決まりを守ることは難しいけれど、今日失敗したら明日は失敗しない ようにと毎日努力してくださいと言うのです。またまた、“決まり“ですね! この本はとても有名な女性タトゥーアーティストの方にプレゼントしてもらった のですが、この本の内容がどうというより、彼女のバイタリティがすごいのです。 彼女はタトゥ暦ざっと30年、とても成功しているビジネスウーマンです。 趣味の分野でも絵を描いたり、最近ではバンドをフィドル(カントリーでいう バイオリン)に挑戦(旦那様はミュージシャン)しているようす。だんな様も “彼女は毎日元気が有りすぎてついていけないよー”なんていっていましたよ。 そのようなかっこいい女性が、“私この本を毎日読んで実行しようと努力して いるの。ぜひ読んでみて!”というのです。 古代の時代よりも現代のほうがもちろん自由と言えるでしょうけど、現代には 現代の悩みも山積みですものね。どうして、ユダヤ教が生まれてどう現代に 影響しているのか?どうしてトルティックブックのような本(このような人生 をより良くする為のヒントを書いた本はたくさんありますよね。)に人気が あるのか?モッツァをポリポリ食べながらちょっと考えてみた今日この頃です。 アメリカにはたくさんのユダヤ人が住んでおり、経済や政治、イスラエルに おける情勢まで多くの影響を持っており、普段の生活でもそれを感じる事が できます。例えば、スーパーマーケットに行って食品を買うときによくパッ ケージを見てみてください。小さなUの文字がありませんか?それはコーシェル (カシェル)といい、“ユダヤ教の掟に添って加工されています。ユダヤ人の 人も食べる事ができます。”という意味のマークです。ソーダのボトルにだって ついているんです。わざわざユダヤ人のためにマークを付けてるなんて!それ だけ多くのユダヤ人が住んでいるのでしょうね!!
ユカの『イーストヴィレッジ』 |

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