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No.112012.01.28

アメリカの医療 − 患者の主張

    NYっておもしろい!
    日本に住んでいるときに 実に困ったことのひとつに 医者へのかかり方があった
    私は納得のいくまで 説明を求めるのが 患者としての責任だと思っていた
    そのため、とことん医者に 質問した 自分のからだのことなのだから
    とても 心配である さらに 治療など 自分になにが起こるのか 
    絶対に把握しておくべきだと思った
    予測される 副作用についても しっかり 聞いておくべきだと思っていた
    しかし、多くの 日本のドクターは 私が質問をすることをけむたがった
    一人でも多く患者を見ないと 採算がとれないようなところでは、
    時間が とられるのも いやだったのかもしれない
    あるいは 私が質問することで、
    あたかも 医者の治療診断を 疑っているように 思ったのだろうか?
    さだかではないが、 明らさまに いやがられた いやな顔をされたこともあった
    中には 私に対して confront してきたドクターもいた
    「もし 私にかかることに不満であれば ほかのところへいってくれ」 
    とまで言われたことがあった
    私は単に 自分のからだのことが心配で 質問しただけだったのに
    いったい どこで 相手の感情を 害したのか 
    私はきつねにつままれた気持ちでその場を去ったものだ
    ドクターとの関係が悪くなったときは がっかりしたものだ
    せっかく 信頼できそうなところまでいったのにと 思った
    私が日本語でうまく説明できそうもなかったときは 書状で 
    経過、観察、質問 などを ファックスで 来院 前 に送ったこともあった
    これまた 相手の気持ちをくつがえしてしまった
    いったい 私のなにがわかるかったのだろうか?と 
    いまだに けむりにまかれたままである
    
    そんなわけで 私は 自分の価値観と 
    相手の価値観の食い違いかなにかで 誤解を受けることが多々あった
    つまり 私は ただ 私にとっては 
    普通のことをしていると思っているときに 
    急に相手が 憤慨したりするような場面にでくわすのだ
    「なにか 私、失礼なことを言いましたか?」 
    と言っても 相手が怒ってしまったときは もう取り返しがつかない
    
    そんな 日本で 私は暮らしにくいと 常に 思っていた
    
    けれども 最近になって 自分の行動が 
    なぜ 相手の気持ちを害したのか 少しわかってきた
    これは 日米の 患者の価値観の違いなのだ
    
    このギャップはとても 大きいと思う
    日本では お医者様は 人の命を救うという 
    神様のように 権威のある人なのだ だから お医者様は えらいのだ
    お医者様の言うことは 絶対であって
    きちんと それに 従わないと 悪い患者 になるのだ
    薬においても 処方されたら 忠実に 飲まなくてはいけないのだ
    
    しかし、アメリカでは 医者も患者も基本的には 同じ人間で 対等なはずである
    医者がえらくて、知識があって、患者は無知で無教養で 下ということはない
    
    さらに 医療保険の違いからしても 
    患者は customer ドクターは サービスを提供する側という考えもある
    患者側は I am paying you for the service というアプローチで迫ることもあるはずだ
    
    さらに アメリカでは すべて 自己責任がスタートであり、基本なのだ
    こうしろ、ああしろと 命令的な ドクターは きらわれる
    むしろ、I would suggest といってくれる ドクターのほうが 
    患者に yes no のチョイスを与えてくれて、
    患者の決断を respect しているように受止められて人気がある
    
    私は昨年二度ほど ドクターが勝手に 決断したがゆえに 
    本当に困ってしまったケースがあった
    それは 勝手に 検査機関に removed tissue を送ったからだ
    それから もう一つは 言われてもいない 検査を勝手に 行ったからだ
    なぜ 困ったかというと 検査機関やら pathologist から 
    私のところに 覚えもない ドクターや検査機関から 請求書が送られてきたからだ
    しかも 金額が半端ではなかったからだ
    
    その件で 私は 病院と医療保険会社と かなり戦ったが結局 
    患者の力など たかがしれているゆえ
    負けに 終わった
    お金に関しては つまりだれがパワーを financially もっているかというとき 
    患者の立場は弱いと思った
    
    アメリカの 医師の仕事は あくまでも 患者が 
    自分にとって 正しい判断ができるように 決断を助けることだと 思う
    意思決定は あくまでも 患者にあるべきなのだ
    なぜなら 自分のからだは 自分が一番よく知っているし、 
    自分のからだに対して 自分が責任をとらなくてだれがとるのだ ということになる
    もし 医師が 自分に関わる決断をしたならば、
    それは 決定した 医師が blame されるわけだ
    それは 医師にとっては たまったものではない 
    というのも アメリカではすぐ 裁判が起こるからだ
    医師は忙しいし そんな時間はない 
    ましてや 裁判は めちゃくちゃ お金がかかる 
    そして 時間もふんだんにとられてしまう
    
    患者の意見を尊重するドクターだと What would you like to do? と聞いてくる
    患者は I would like to think about it. と答えるケースが多いだろう
    ほとんどの場合、
    You are the doctor, you decide for me とは言わないのではないだろうか?
    
    アメリカの医師は 無責任ではない
    ただ 患者の 生死にかかわるところまで 
    決断の責任をとれないということなのではないだろうか
    
    さらに 忘れてはいけないことは
    アメリカの医療費である これが ばかにできない額なのだ
    私の医療保険は 30万円までは 検査によっては 自己負担なのだ
    となると ドクターに言われるままに はい、それ と 検査を受けられないのだ
    きちんと 予算をみながら 決定しなくてはならない
    
    もし 必要でない検査だと 自分で判断したら、それを断る権利があるのだ
    一番汚い やり方は 医師が 患者に なにも説明せずに 
    勝手に 検査をする場合だ 
    (血液検査など 最たるもの いったいいくつ検査したかなど わかりゃしない)
    請求書が来て はじめて そのことが わかったときの患者の怒りは 相当である
    このようなことは 起こってはならないと思う
    
    あともう一つ、アメリカ人の多くは 神による 奇跡を信じている
    さらには 西洋医学以外にも holistic approach も 浸透しているので、
    そのような方面からの 治療も考えるであろう
    となると 手術を拒んだり、薬を拒否したり、
    入院を勧められても 病院を出る人もでてくるわけだ
    西洋医学だけが solution ではないはずだからだ
    
    とにかく ドクターは 自分の価値観を押し付けてはいけないと思う
    ドクターは その分野においては 確かに専門かもしれないが、 
    それが絶対とは限らないからだ
    人には 不思議な力が宿っているものだ
    それを 信じている人もいることを 
    ドクターは覚えておかなくてはいけないとおもう
    アメリカは Christian も多い 彼らは神の healing の力を信じているからだ
    
    そして 死を 選択する人もいるということ
    明らかに 退院したら 死ぬかもしれないと思っても
    その人が それを 望んでいるのなら それを 尊重しなくてはならないのだ
    いまや 死ですら 患者の手中にあってもいいはずなのだから
    
    これまた 医者の価値観だ 医者は人を救うのが使命だと思っている人が多い
    しかし、それは あくまでも医者側の価値観である
    患者側の 意見 人生 生き方 は 別なはずである
    このあたりも 考えてなくてはならないであろう
    
    たとえば 生まれつき 目が見えない人がいるとしよう
    医学の進歩で 目が見えるようになる 手術ができるとしよう
    けれども 生まれつき 目が見えない人にとって 
    目が見える世界に入ることが必ずしも その人が望んでいること、
    幸せになること ではないかもしれないのだ
    またここで 医者の価値観が押し付けられる ケースだ
    目が見えないがゆえに 彼らはその文化を得た
    そして そこから出たくないと 思う人もいるのだ
    
    everybody is different
    みんな それぞれの 価値観をもってるのだ
    different であることは アメリカにおいて 絶対に尊重されるべきことなのだ
    この国は different individual が一体となって伸びた国だからだ
    アメリカの パワーは そこにあるからだ
    だから 医者の役目は それを 尊重することだ
    医師の価値観が 絶対だとは決して 思ってはいけないだろう
    
    アメリカ人だったら このようなことを言うのではないだろうか?
    
    "you should respect my decision, because this is my body,
     it is my life, it's my money, 
     and I have to live with the consequence, not you, doc"
    

    ノーラ・コーリ ************************************** Nora Kohri (Overseas childbirth and childcare consultant) info@caretheworld.com http://www.caretheworld.com **************************************

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