No.75 ･ 2005.11.13

『車社会という意味』

以前、カナダに住んでいた方に隣りの人ですら顔を合わさないと聞いたことがあっ た。それがどういう意味なのか感覚的に理解できなかった。日本で私は一軒屋に住ん でいた為、またそこから駅まではなんとか歩ける距離であったこと、また隣りの住人 は犬を飼っていたり、小さな子どもがいたりして目の前の公園にもよく出ていたこ と、ゴミを週３回は集積所に家から持っていく、さらに日本では家の前をほうきでは くという習慣があるではないか、そのため、けっこう隣りの人とは顔を合わせてい た。もちろん彼らも車を所有していたし、けっこう頻繁に出かけていた。それでも顔 を合わせしょっちゅうあいさつをしていた。 しかしこちらに来てからはほぼ同じような条件が揃っている。たとえば、小さな子ど も達がいて、犬がいて、ゴミを家の外にまで出すなどだ。しかし大きく違うことは出 る範囲がとても限られていることだ。その範囲とは家から車、家の玄関から前庭先ま でくらいなのだ。彼らは日本人以上に車に移動を頼っている。おけいこに行くにも 車。学校へ行くにも車。買い物も車。仕事へ行くにも車。彼らが歩くのは買い物をす るスーパーの中。犬を散歩する時、オフィスの中を歩くときくらいなものではないだ ろうか。ものすごく歩かずに住む世界ができあがっているのが車に頼った世界なのだ。 そのためとにかく隣人とは顔を合わせない。かくいう私も車で車庫から出て、車庫へ 戻って帰ってくるのだから、当然あわないわけだ。それでも私はデスクワークが多 く、このコンピューターの前から前の公園と通りをしょっちゅうながめているので彼 らの顔は見えなくても彼らの車の行動はかなり把握しているのだ。あはは。おもしろ いな。ニューヨークって。 ノーラ・コーリ ************************************** Nora Kohri (Overseas childbirth and childcare consultant) info@caretheworld.com http://www.caretheworld.com **************************************

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