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No.2004.12.12

『肌の色の濃い人達』

    30年ほど前は肌の黒い人達に対して Negro ということばは偏見であり、タブーで あった。その後20年ほど前であっただろうか、彼らはBlack is beautiful と唱え、 blackと呼ばれたいと主張した。そして今はなんとAfro ? Americans 、あるいは African Americans と自称する。彼らはなんとか自分達のアイデンティティーに 誇りを結びつけようと思ったのであろうか。まあ、あと10年してどのように呼称が 変わるのかわからないが、私は肌の色で区別するのであれば肌の色の濃い人達と 自分では言っている。People of darker skin と言ったところでしょうか。

    けれども肌だけの問題ではありません。ニューヨークのいわゆる黒人という人達は 英語を話さない黒人もたくさんいるのです。それぞれに国があり、文化も違うので す。この前もスーパーに立ち寄った所、英語を話さない黒人が同じ英語を話さない 黒人と自分達のことばでコミュニケーションをしていました。あえて、あんた何人? とはとうてい聞けない小心者の私、なんとなく耳を済ましてみるものの、いったい どこのことばかわかりません。

    そしてここニューヨークはスカースデールも含めて、ヨンカーズ、Mt. Vernon辺り にはものすごく黒人が多く、ホワイト・プレーンズのギャラリアモールなどに行け ば、黒人やヒスパニックというスペイン語を話す人達がごったがえしています。

    だから最初来た当初はなんとなく黒人ってこわいなと思ったのですが、1ヶ月もした ら、私は黒人の人達と一日に何回もコミュニケーションをとっていて、もうなんと も感じなくなりました。電話口でも黒人の人の口調は違いますので、すぐわかり ます。先日訪れたヨンカーズの陸運局でもスタッフのほとんどが黒人でした。いや、 ゴミを片付けていたのがすごい太った白人であったほどです。あれ、どうしちゃっ たのかな?立場が逆になっている。もしかしたらだんだんここニューヨークでは 黒人が地位をのぼってきて、おちおちしている白人を蹴落としていくのではない かな? ここウェストチェスターのシティバンクでも新規口座の担当者はほとんど が黒人です。

    今まであった黒人イコール低所得者イコール怖いというイメージが崩れ始めました。 今の私にとって肌の黒い人イコール普通の人イコール怖くもなんとも感じない人に なりつつあります。ちなみに娘は肌の色をなんとも感じない育ちをしています。 キャンプでの友達も肌の黒い友達がほとんどで彼女達とも抱き合う仲です。

    ニューヨークに住んでいていいことは、そのような偏見がどんどんと崩されていく ことではないでしょうか。彼らはものすごく身近な友達になりうるのです。

    ノーラ・コーリ
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    Nora Kohri
    (Overseas childbirth and childcare consultant)
    info@caretheworld.com
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書・木村怜由

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