
No.55 ・ 2004.07.11
『返却品』
私はこのことをアメリカ人に話していたら、「なにをそんなに悩んでいるのよ? 向こうが悪いんだから返せばいいのよ。」といとも簡単に言うのだ。そうか、 返せばいいの?けどもう箱もあけちゃったし、これでも返せるのだろうかと 思った。そして店にいって私の前に並ぶ人を見ていたら、まあ、まあ、アメリ カ人は返す、返す、あんなもの、こんなものまで。中には明らかに使ったけれ ども役立ちそうもないのでというような理由を堂々とつけて返していく人、買っ たけどやっぱり気に入らないからという理由なども。まあ、驚きである。とに かくもっと驚いたことは、本当に箱があけてあっても、もうすでに値札を切り 取ってしまっていても、ものによっては引き取ってくれるということだ。そして 代金を返してくれる。そして中には返却する理由を聞かない店員もいる。 クリスマスのあとなどはひどい混雑だ。子どもがやっぱり気に入らなかった、 もうすでにひとつ同じものをもっているからなどと返却に来る。プレゼント だったらどのように返却できるのだろうと思った。ちょうどクリスマス前に 娘にコートをプレゼントする予定で店に立ち寄った。そこは GAP。そしてこれは プレゼントかと店員の人に聞かれたので、そうだといったら、万が一プレゼント を受け取った本人がものを交換したり返却したい場合に必要なレシートがほしい かと聞いてきた。私は興味があり、どんなものかとそれを手にした。 そこには値段こそ印刷されていないが、返却したい場合に確かにこのお店で 何をいつ買ったかということが記載されているのだ。そしてもしプレゼントを 受け取った側がサイズを変更したかったり、違う色がほしくて変えたい場合に そのレシートのような紙を店にもっていけば交換してくれるという仕組みに なっていた。なるほど値段が書かれていないレシートなのだなと思った。 これもアメリカ人らしい発想だ。彼らは自分が絶対に納得するものでなければ 着ないし、ましてやからだに合わないものをプレゼントだからと無理して着る 事もしない。あくまでも自分が納得の行く線までチャレンジするのだ。 それにしても私もいったいいくつのものを返却したことだろう。壊れていた スクーター、ページが抜けていた本、色が変わっていたハム、面倒ではあったが やはり文句なしに変えてもらえてよかった。 「お客様が納得するまで、お店ではお客様が100%満足されることを願って います。」ということばの裏にはこのようなアメリカ人の努力があるのだなと 納得した。
ノーラ・コーリ
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