No.50 ･ 2004.02.07
『やたらとでかい薬』
そしてこのビタミン剤は幼児のときも、思春期のときにも飲むように小児科医 から言い渡される。だからアメリカの子ども達はからだが大きいのかもしれない。 野菜をあまり食べなくても、きちんとビタミン剤で補給するのだ。 そんなアメリカに住んでいる私もやはりこちらの文化にじょじょに染まり、こち らのドクターにかかれば、こちらのドクターのアドバイスが与えられ、それに 従った。ドクターは私がもう３０代も後半にさしかかっているので、骨を強化 するためにカルシウムを毎日６００ｍｇ飲むように言い渡した。さらに栄養士 からは総合ビタミン剤を摂るように言い渡された。 そんなことから、忠実にこちらの医療に従おうと思った郷に入ったら郷に従う 素直な私は、ビタミン剤とカルシウム剤を薬局で購入しにいった。いやいや、 それにしてもありとあらゆるビタミン剤があるものだ。種類が多いこともさる ことながら、ほぼ薬局の棚一列片側は全部こういったからだの調子を整えるため の薬が並んでいるのに驚く。 ビタミン剤なんて買ったことがない私は、一応、ドクターの指示通り、カルシ ウム剤でもビタミンＤが調合されたものを買った。これもブランド物とノン ブランドがある。このノンブランドとはたいてい薬局会社のものが多く、この 地域だとＣＶＳなどが有名である。この薬局はどこにでもある。そしてこのブラ ンド物とノンブランド物との値段の差がかなりあるのだ。 貧しい学生身分の私であるが、一応、からだに関してはお金を惜しまない立場上、 ブランド物を買ってみた。 初めて我が家で飲んでみたが、なんとその１錠の大きいこと！驚きである。 そしてなんとのどにつっかえてしまって、おえおえと苦しみ、のどを傷つけて しまった。こんなことではたいへんと次回からは２つに割ることにした。もち ろんアメリカ人はのども太いのであろうか、もう慣れているからであろうか、 彼らはそのまま飲んでいる。そして私は２つでもなんかまだ角がのどにつっかえ たりして、飲み込めない。といっても途中まで飲み込んでつっかえてしまうのだ。 しかたなく、今度はすべてその１錠をスプーンの裏でつぶすことにした。これで 完全に粉状である。飲んでみたが、ああ、まずい。それでもなんとか全部飲めた からこれでよしとしよう。 とんだ薬の話である。今せっせと飲んでいる薬が効くかどうかは本当に定かで ある。気休めになってしまうだろうか？まあ、風邪をあまりひかず、あと２０ 年後、骨の量が２０代の人たちとさほど変わらないと伝えられたら、初めて その効果がわかるのであろう。ああ、２０年後なんて、だいぶ先のこと。これ から毎日、この薬をつぶして飲む生活が続くのかと思うと、う〜〜ん、複雑で ある。
ノーラ・コーリ
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