
No.29 ・ 2002.09.10
『9/11を前に』
特に夫を亡くした後に生まれたたくさんの赤ちゃん。世界貿易ビルで働いていたほと んどの人はまだ働き盛りの20代、30代の人々でした。彼らはちょうど家族をス タートする時期にあり、子どもたちもまだまだ小さかったり、これから生まれるとい う人もたくさんいました。これから子どもたちはパパなしで生きていかなくてはいけ ない。ママはパパなしにこの子どもたちを育てていかなくてはいけない。きっと子ど もたちはお父さんの記憶はなくなるでしょう。ある母親は、「子どもへの感情が離れ てしまってしまった。」とそのどうしようもない心理状況を話していました。 当日、「夫がベッドサイドテーブルにただ何気なく置いておいたヤンキーズの試合の チケットそして15ドルのキャッシュ。それを1年間どうしても触れない。」といい ます。家の周りを見れば、夫の思い出に埋め尽くされているといいます。いっしょに 選んだカーテンを見ても、一度も替えたことがない電球を替えることでも彼を思い出 すといいます。ただ、「もう普通の生活に戻りたい。もう9・11の犠牲者として周 りから見られたくない」といいます。 けれども彼女達は徐々に立ち直っています。「確かに傷口はなまなましいです。 けれどもほんの少し、かさぶたが作られていっているように思えます。」「まだ自分 の方向は定まっていません。けれども今は、さなぎからかえろうとする蝶のような心 境です。」 夫は健在。今日も元気に仕事にいってくれている。彼が生きている。けんかもでき る。好きだということも伝えられる。家族がある。そんな当たり前のことが本当は一 番の幸せなのかもしれない。夫を失った多くの遺族の人たちは私たちにそんなことを 伝えようとしているのかもしれません。
ノーラ・コーリ
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