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No.292002.09.10

『9/11を前に』


    9月11日が間近に迫ってきています。ここ、ニューヨークではたくさんの追悼式が 計画されています。私は、コロンビア大学で行われる追悼式(Memorial) に参加する 予定です。実際、事件が起きた場に住むものにとって、あまりにも衝撃が大きく、心 のよりどころをどこかに探さないといてもたってもいられない気持ちがします。直 接、遺族と会ったり、話を聞いたり、ニュースで語る姿を見るたびに、遺族ばかりで なく、ニューヨーク市民全体がこの事件にかかわったと感じます。今、新聞では遺族 の方々の1年後の心境などがつづられています。それを読むと本当に心が傷みます。 その心の傷は決して1年たってもいやされないものだということがわかります。

    特に夫を亡くした後に生まれたたくさんの赤ちゃん。世界貿易ビルで働いていたほと んどの人はまだ働き盛りの20代、30代の人々でした。彼らはちょうど家族をス タートする時期にあり、子どもたちもまだまだ小さかったり、これから生まれるとい う人もたくさんいました。これから子どもたちはパパなしで生きていかなくてはいけ ない。ママはパパなしにこの子どもたちを育てていかなくてはいけない。きっと子ど もたちはお父さんの記憶はなくなるでしょう。ある母親は、「子どもへの感情が離れ てしまってしまった。」とそのどうしようもない心理状況を話していました。

    当日、「夫がベッドサイドテーブルにただ何気なく置いておいたヤンキーズの試合の チケットそして15ドルのキャッシュ。それを1年間どうしても触れない。」といい ます。家の周りを見れば、夫の思い出に埋め尽くされているといいます。いっしょに 選んだカーテンを見ても、一度も替えたことがない電球を替えることでも彼を思い出 すといいます。ただ、「もう普通の生活に戻りたい。もう9・11の犠牲者として周 りから見られたくない」といいます。

    けれども彼女達は徐々に立ち直っています。「確かに傷口はなまなましいです。 けれどもほんの少し、かさぶたが作られていっているように思えます。」「まだ自分 の方向は定まっていません。けれども今は、さなぎからかえろうとする蝶のような心 境です。」

    夫は健在。今日も元気に仕事にいってくれている。彼が生きている。けんかもでき る。好きだということも伝えられる。家族がある。そんな当たり前のことが本当は一 番の幸せなのかもしれない。夫を失った多くの遺族の人たちは私たちにそんなことを 伝えようとしているのかもしれません。

    ノーラ・コーリ
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    Nora Kohri
    (Overseas childbirth and childcare consultant)
    info@caretheworld.com
    http://www.caretheworld.com
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書・木村怜由

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