ニューヨークの街角から

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Off Off New York Tours, Mr. 川島 の 『素顔のニューヨーク』 No.52 2005.11.13

『ブロードウエイ・ミュージカル「スウィニー・トッド」』

    ブロードウエイのビジネスとしての一面は、批評家に大きく左右される。オープ ニング翌日に各新聞社などが批評を掲載し、この善し悪しがその公演の成功を 決めることが多い。先週末にオープンした新作ミュージカル「ジャージー・ ボーイズ」とソンドハイムのリバイバル「スウィニー・トッド」は共に批評家 ウケがよく、チケットの売り上げが飛躍したという。知っている人もいるかと 思うが、今年8月にオープンしたジョン・レノンの生涯を描いた「レノン」は、 批評家に叩かれ、1ヶ月もしないで終演となった。いかにあの有名なジョン・ レノンの曲を利用して作品を創っても作品が悪いと観客は寄りつきはしない。 チケット代が100ドルとなったいまでは観客は無駄にお金を捨てようとはしない のだ。

    スチーブン・ソンドハイムはアメリカでは大御所のミュージカル作曲家だ。 そして常に批評家のウケも良い。しかし彼の最近品は興行的には成功していない。 最後に利益を上げたのは1996年の"A Funny Thing Happened on the Way to the Forum"のリバイバル作品。新作でみると成功したのは1973年の「リトル・ミュー ジック」まで遡らなければならない。先週金曜日10月4日にオープンした「スウィ ニー・トッド」はリバイバルで、元は1979年にハロルド・プリンスによって演出 され、制作費300万ドルの半分しかお金を回収できなかった。当時と同様に制作 すると現在では1000万ドルかかるとみられるこの作品は、リバイバル作品でも 平均700-800万ドルかかる制作費を350万ドルに抑えたという。プレビュー公演 でも利益を上げ続けたこの作品は、ブロードウエイで最も影響力があるニュー ヨーク・タイムズの批評家などの好批評により、オープニング翌日から2日間 で75万ドルのチケットを売り上げ、今後も期待がもてるので、簡単に利益を出す ことができるだろうと見込まれている。

    「アサシンズ」、「パシフィック・オーバーチュアー」など、彼の作品をあまり 楽しんでいないのでこの作品もどうかと思っていたが、演出家ジョン・ドイル が役者に楽器を弾かせるというアイデアに惹かれて観に行った。この演出家は イギリス人でイギリスの地方で活動していたが、ミュージカル作品を上演する 時に資金が足りなかったので、役者に音楽演奏をさせることを思いついたという。 それ以来この方法で演出しているという。彼の演出による「スウィニー・トッド」 はロンドンでローレンス・オリビエ賞にノミネートされているが、このブロード ウエイ作品はパティ・ルポンやマイケル・セルベリスらのアメリカ人俳優を演出 している。舞台はシンプルだが、役者がうまくスペースを利用している。また 彼らが楽器を弾いていること自体が演技ともなっているし、照明も良いので視覚 的に魅力的である。役者が舞台で演技をし、楽器演奏家が観客に見えないオーケ ストラ・ピットで演奏という通常の作品とは違い、演技、歌、そして演奏すべて が役者によって行われるので作品として力強いものとなっいる。特に2幕目は どんどん引き込まれ、力強い最後に感動した。ブロードウエイのスター俳優 パティ・ルポンは高校時代にブラスバンド部でチューバを吹いていて、マイケル ・セルベリスはギターを何年も弾いているのでこの作品でも問題ないと述べて いる。他の役者は、やはり演奏、演技、歌唱もこなせる役者はブロードウエイ の常連には少ないのか、この作品がブロードウエイのデビュー作という人も多い。

    しかしやはりアメリカの役者の層の厚さを感じる。

    川島裕次
    オフ・オフ・ニューヨーク・ツアーズ
    HP:http://www.offoffny.com

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書・木村怜由

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