ニューヨークの街角から

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Off Off New York Tours, Mr. 川島 の 『素顔のニューヨーク』 No. 2004.09.26

『ブロードウエイ観劇記 9月編』

    夏のバケーションが終わりを告げる9月第1月曜日の労働の日を前後して、いく つかのブロードウエイ・ミュージカルが終演した。トニー賞を受賞し、4年以上 のロングラン公演をこなした「アイーダ」、今年のトニー賞を受賞作の「アサシ ンズ」と「キャロライン・オア・チェインジ」をはじめ、リバイバルの「リト ル・ショップ・オブ・ホラーズ」などだ。「ザ・ボーイズ・フロム・オズ」は、 主役の今年度トニー賞受賞男優の映画スター、ヒュー・ジャックマンの契約切れ とともに終演。オフ・ブロードウエイではパフォーマンスのデ・ラ・グアルダが 終演を度々延期したが、ついに力尽きた。トニー賞を受賞しても、入場料を値上 げしても、ショービジネスは難しいようだ。

    この夏に私が観たミュージカルは、ロンドンでヒットした「ボンベイ・ドリー ム」。インドの映画産業のボリウッドで、貧民街からスターになった男優の物語 だ。ロンドンでの成功を背景に大金をつぎ込んで、春にオープンしたが、批評家 受けは良くない。私が思うのは、特別目立った役者がいないし、アンサンブルと しても魅力がない。音楽はインド風であるが、インドという場所が舞台美術から あまり見ることができない。通常のミュージカルとは違った特異性を期待した が、平凡なミュージカルだと思う。ストーリーも単純すぎて、おもしろみがな い。見せ場は、舞台に出現した噴水を浴びながらのナンバーと1つ2つの群舞だ けである。

    8月にオープンした古典小説を題材にした、「ドラキュラ」も批評家受けはイマ イチだ。批評家が作品の人気を完全に左右するわけではない。大ヒット作の「マ ンマミア」、ヒュー・ジャックマンのスター性で受けた「ザ・ボーイズ・フロ ム・オズ」は、批評家の採点は低いが、観客受けはよい。「ドラキュラ」に関し ては、私の意見では、第1幕は、場面に魅力がなく、だらだらとしている。舞台 美術も場所を作っていない。また人が舞台の空間を上下、左右に飛び過ぎている のは、馬鹿げているように思う。しかし2幕目は、「ロッキー・ホラー・ ショー」で活躍した、ドラキュラ役のトム・ヒューイットの歌唱力、存在感は舞 台を圧倒し、ミナ役のメリサ・エリコとのデュオでも見せ場を作った。エリコも またソロでも魅力的であった。さすがは本場のプロだと思った。「オペラ座の怪 人」と「ウィッキド」に似たような雰囲気を持ち、この2作ほどの傑作とは思わ ないが、楽しめると思う。

    リンカーンセンターで上演されている、「ザ・フロッグズ」は、古代ギリシャ喜 劇を下地に、ブロードウエイの大御所スティーブン・ソンドハイムが70年代に 曲を付けた作品を、ブロードウエイのスーパースター、ネイザン・レインが見出 し、脚本を現代風に仕上げ、さらに「プロデューサーズ」、「コンタクト」の スーザン・ストローマンが演出を担当し、うまくまとめ上げた。セリフでのおも しろさが多い作品で、私は観客の笑いで笑った。しかしレインのコメディのセン スは抜群である。間で笑える。10月10日までの限定公演である。

    1930年代からの映画を80年代に舞台化したもので、馴染みのスタンダード が奏でられる、「フォーティ・セカンド・ストリート」。3年前にオープンした リバイバル作品なので、今更とは思いながら、来年の頭に終演するというので、 また批評家受けがいいので、観劇する。素晴らしかった。これがオーソドックス なミュージカルというもの。オーソドックスというのは古くさいという意味では なく、ミュージカルの魅力をたくさん取りそろえているということです。豪華な 舞台美術と衣装、魅力的な音楽、群舞、ユーモアと単純だが心打つストーリー。 55人のキャストが繰り広げる大舞台は、ミュージカルの魅力を堪能できる。 ニューヨークに来たのだから、ミュージカルを観たいが、どれがいいか分からな いというようなら、割引料金も出ているので、この作品をお薦めする。

    ミュージカルというよりダンス公演であるが、楽しめたのは、「フォエバー・タ ンゴ」。1997年から1998年にかけて上演された作品が、ブロードウエイ に戻ってきた。今年の7月から1ヶ月ほどの期間限定公演を行ったが、さらに9 月28日より2ヶ月間の公演を行う。題名そのままで、タンゴの魅力を遺憾な く、魅せてくれる。タンゴを現代風にアレンジしているので、古びた感じはな い。またバンドネオンの音色も魅力的である。ダンスが好きな人や、セリフは全 くないので、言葉に惑わされたくない人、純粋にダンスと音楽を楽しみたい人に は最適である。

    追伸:「ワンダフル・タウン」のダナ・マーフィーが9月末に契約切れで、降板 するということで、最後に彼女の魅力を見たいと思っていたら、彼女はわがまま にも公演を休みがちだということで、やめた。彼女の最終公演も休むという。彼 女は舞台の大スターなので共演者もプロデューサーも彼女に面と向かって何も言 えないというが、裏筋では彼女は2度とブロードウエイの舞台には招かれられな いだろうという。「ザ・ボーイズ・フロム・オズ」はヒュー・ジャックマンの魅 力を見たいと思ったら、トニー賞を受賞後には以前は割引で買えたチケットが、 割引がなくなった上に、最低料金が値上げされた。それでもほとんど完売であっ た。ヒュー・ジャックマンは、公演無欠席で、またエイズ基金を募る公演でも多 額のお金を集め、ブロードウエイ業界ではとても評判がいい。

    川島裕次
    オフ・オフ・ニューヨーク・ツアーズ
    HP:http://www.offoffny.com

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書・木村怜由

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