ニューヨーク・ブラックカルチャーfromハーレム

ニューヨーク・ブラックカルチャーfromハーレム

New York Black Culture Trivia
New York Black Culture Trivia 2009.02.28
堂本かおる の 『from ハーレム』 (No.90)

ラップして幼稚園の先生に叱られるの巻

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           「ハーレム・ジャーナル」
    
       ラップして幼稚園の先生に叱られるの巻
    
    
                2009.02.28 Saturday
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    うちの息子が幼稚園(Pre-K)の
    担任の先生からの手紙を持ち帰ってきた。
    
    
    「お宅の息子さんは教室でラップしています。
    カースワードは含まれていませんが、
    『Shorty, get your money』(ショーティー、金を手に入れろ)
    と言っています。彼が歌い続けると、
    他の子供もマネを始めるので心配です」とあった。
    
    
    一瞬、教室の4歳児が全員で『Shorty, get your money』と
    合唱している姿が目に浮かんで可笑しかった。
    (若い女性の先生が『Shorty, get your money』なんていう
    フレーズを手紙に書いている図も、実は笑えた。)
    
    
        ……が、これは笑っている場合ではない。さっそく息子に
    「これは大人の歌だから子供は歌ったらダメなの」と説明した。
    息子はワケが分かっていなかったものの、とりあえず幼稚園で
    歌わないことに同意してくれた(笑)。
    
    
    いったいどこで覚えてきたのか不思議だけれど、うちの子は
    道を歩いている時に通りすがりの車のカーステから流れてくる曲にも
    反応するのである。彼の耳を完全に塞いでしまわない限り、
    こうしてどこかで覚えてくるのだろう。
    
    
    まだ4歳でリリックの意味も分かっていないとはいうものの、
    実はそこがポイントなのだ。意味すら理解できない年齢から
    こういうフレーズを日常的に聴き、使い続けると、それが
    その子供の基本ボキャブラリーとなる。TPOをわきまえることが
    出来ず、ふだんの会話で使うようになる。
    
    
    とはいえ、黒人コミュニティーに住んでいる以上、こういった
    リリックや、カースワードだらけの大人の会話を完全に遮断する
    ことは不可能だし(道で「ファック!」とか言ってる人多し。)、
    もう少し年齢が上がると友だちの中にスラングを使う子供が
    必ず出て来る。
    
    
    子供を外界から神経質に遮断して無菌状態で育てようとはせず、
    けれど標準英語と黒人英語とスラングの違いを納得させて……
    親には結構な高等技術が要求されるのである。
    
    
    ところでこの曲、あらためて聴いてみて驚いた。
    『Shorty, get your money』の次に『Nigger, get your money』と
    連呼しているではないか。
    
    幼稚園でこの部分を歌わずにいてくれて、
    あぁ、本当に助かった(笑)。
    
    
    ニューヨーク・ハーレム・ジャーナル



    堂本かおる 
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書・木村怜由

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