ニューヨーク・ブラックカルチャーfromハーレム

ニューヨーク・ブラックカルチャーfromハーレム

New York Black Culture Trivia
New York Black Culture Trivia 2007.06.01
堂本かおる の 『from ハーレム』 (No.83)

「次の大統領はアクター?」

    大混戦のアメリカ次期大統領選に、新たなる立候補者が出現。

    以前から出馬を噂されていたフレッド・トーマス。と言っても、この名前を 知っている人は相当なアメリカ・ドラマ・オタク。17年の長寿を誇る刑事司法 ドラマ「ロウ&オーダー」でニューヨーク州地方検事を演じていた俳優だ。

    いや、実はそもそもはテネシー州の議員で、それがなぜか役者もやっていて…… という、変ったキャリアの持ち主。

    遠いテネシーの人なので、政治家としての手腕は全然分からない。けれど、 ドラマではすごい存在感を発揮していて、少なくとも映画で大統領を演じても 違和感は無いと思う。

    多分、頭も良いと思う。主だった候補者は出尽くし、すでに公開ディベートが 2回も行われているのに、こんなに出遅れての出馬は、それなりに計算があっ てのことだろうから。

    というのは、共和党候補の中でもっとも人気のあるジュリアーニ元ニューヨーク 市長は、実はバリバリの共和党員には嫌われている。ジュリアーニは「中絶」 「ゲイの結婚」について「あんまり賛成したくはないけど、仕方ないんじゃない?」 という姿勢。たとえ共和党員であってもニューヨークの市長だったわけで、 ここで「中絶絶対禁止」「ゲイの結婚ダメダメ!」など唱えていては市長は つとまらなかったわけで。でも、それが共和党の基本姿勢とは合致しないのだ。

    現役の市長だった頃、マイノリティーに厳しい政策を取って黒人市民に嫌われ、 ハーレムなんて歩けなかったであろうジュリアーニが、共和党の中ではもっとも リベラルなんて、皮肉な話。

    とにかく、一番人気のジュリアーニがそんな風に微妙な立場なので、超バリバリ 共和党な政策を持つフレッド・トーマスは「チャンス有り!」と考えているのだろう。

    いずれにせよ、もし彼が大統領になったら、ロナルド・レーガンに続く2人目 の元役者プレジデントだ。

    ところで、大統領選で「中絶」「ゲイの結婚」が大きな争点になるのは、 ここがキリスト教国家だから。

    2007.06.01 Friday
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    堂本かおる 
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