ニューヨーク・ブラックカルチャーfromハーレム

New York Black Culture Trivia 2002.02.28
堂本かおる の 『from ハーレム』 (No.44)
アカデミー賞最優秀「黒人」主演賞
けれど、今年で第74回という長い歴史を持つアカデミー賞に於て、 黒人俳優が最優秀主演賞を獲得したのは、驚くべきことに1963年のシ ドニー・ポワチエ「野のユリ」の1回のみ。黒人俳優がノミネートされ た年は昨年までの73回のうち11回、ノミネートされた人数は延べ14 人で、受賞に至ったのはシドニー・ポワチエひとりだけ。以下は1980 年以降で黒人俳優がノミネートされた年の候補者リスト。▲マークが黒 人俳優。
第58回(1985)
第59回(1986)
第62回(1989)
第65回(1992)
第66回(1993)
第66回(1993)
第67回(1994)
第72回(1999)
第74回(2001)
第74回(2001) 以前「1980年代のブラックムービー」に書いたように、80年代には 優れたブラックムービーはあまり作られていない。また白人であっても、 あの名優アル・パチーノですら何回ノミネートされてもその度に受賞を 逃し、1992年に「セント・オブ・ウーマン/夢の香り」でついにオス カーを手にするまでは“無冠の帝王”と呼ばれていた、というケースが ある。そう考えると、デンゼル・ワシントンとモーガン・フリーマンが 過去に2回ずつノミネートされながら、いずれも受賞できなかったのも 仕方がない? 上記のリストに上っている他の黒人俳優が誰も受賞でき なかったのも偶然? ではアメリカの音楽シーンはどうだろう? ちょうど昨日に開催され たグラミー賞に関して言えば、R&B、ヒップホップ、ゴスペル、ブルー ス、ジャズなどといった、いわゆる黒人音楽がカテゴリーとして儲けら れており、当然、黒人受賞者の数もかなり多い。また黒人ミュージシャ ンのCDの売上げも高く、それはビルボードのトップ200などを見れば 一目瞭然。アメリカの全人口のうち黒人は13%(※ニューヨーク市では 25%)しかいないのだから、黒人だけにウケてもチャートには食い込め ないはず。つまり、白人も黒人音楽を聴いているのだ。中西部の白人し か住んでいない小さな街でも、白人ティーンエイジャーは今はラップを 聴いている。また音楽業界のトップにはラッセル・シモンズなどの黒人 エグゼクティブが既に存在し、彼らがシーンを作り、動かしているとい う側面もある。 これに対して、白人はブラックムービーを観ない、という事実がある。 これはアメリカの映画館でブラックムービーを観てみると良く分かる。 もちろん作品にもよるけれど、観客は黒人とラティーノばかりで、白人 客はほとんど見かけられない。(「モンスターズ・ボール」には白人客 が多かった) また映画界のエグゼクティブには黒人はいない。したがっ て黒人の思考や嗜好を反映した映画も作られにくい。 それにしても、どんなに理由をあれこれ並べてみたところで、73年間 もの間に「最優秀」と認められた黒人俳優がたったひとりだけで、それ も38年も昔の話、というのは一体??? ****************
◆New York Black Culture Trivia 堂本かおる(フリーライター) |

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