ニューヨーク・ブラックカルチャーfromハーレム

クリントンは、そもそもはミッドタウンにあるカーネギー・ホール・タワー に新オフィスを構えるつもりだったのだけれど、元大統領のオフィス家賃は 税金で賄われることが定められており、年間約74万ドルもの高額家賃に非難轟々。 そこでハーレムのメインストリート125丁目にあるオフィル・ビル"55 West 125th St.ビル" に落ち着くことを決めたのだ。なんといっても年間50万ドルもの節約になるそうだ。

ハーレムはセントラル・パーク以北に位置するアフリカン−アメリカン地区。 “ハーレム・ルネッサンス”と呼ばれた1920年代にはジャズ・ミュージシャンや画家、 その後は数々のＲ＆Ｂスター、ヒップホップ・スターを生み出しながらも、 経済的には荒廃が進み、観光客が足を踏み入れてはならない“危険地帯” と言われるようになった。しかし1990年代後半に入ってからは再開発が始まり、 スターバックス等の全国チェーン店やシネマ・コンプレックスが次々とオープン。 また新しいマンションの建築ラッシュも起こり、今では白人も移り住みつつある。

こういった背景のもと、元大統領がやって来るというニュースが報じられ、 人々は驚きながらも、これがハーレム再開発のスピードを加速するだろうと喜んでいる。 観光客にとっても、さらに訪れやすい場所になることは間違いない。

このニュースはどの新聞でもハーレムの写真付きで大々的に報じられたけれど、 ニヤリとさせられたのビルの外観。税務局なども入っている14階建てオフィス・ ビルの側面に貼られているのは、ヒップホップ・ファッション・ブランド“FUBU” の超巨大看板。その写真はまるで「クリントン元大統領、HIP HOP World へようこそ」 と入っているようだ。