ニューヨーク・ブラックカルチャーfromハーレム

ニューヨーク・ブラックカルチャーfromハーレム

New York Black Culture Trivia
New York Black Culture Trivia 2012.12.17
堂本かおる の 『from ハーレム』 (No.116)

コネチカット州乱射事件によせて〜
子どものすぐ側にある銃


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           「ハーレム・ジャーナル」
    
       コネチカット州乱射事件によせて〜
         子どものすぐ側にある銃             2012.12.17 Monday ■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆ ▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼ 2012年12月14日にコネチカット州の小学校で起きた乱射事件。 事件の詳細についてはまだ不明な部分も多いが、 被害者の名前と年齢が発表された。 小学1年生(6歳、7歳)の子ども20人と校長を含む教職員6人、 そして犯人の母親。犯人は自殺。 victims 犠牲となった子どもたち(一部) 当日の昼過ぎ、何気なくCNNを付け、 事件の第一報を知った時には涙が出た。 理屈では被害者が1人でも20人でも、 子どもでも大人でも老人でも、命の重みは同じと知っている。 けれど8歳児を持つ身としては、小学校で乱射が起き、 子どもが大量に撃たれて死んだと聞いただけで、 理屈を飛ばしてリアルな衝撃と痛みが走ったのだ。 事件から2日。 先ほどカリフォルニア州のシリコンバレーで自閉症児を育て、 自閉症児支援アプリを開発、起業した 久保由美さんのエッセイを読んだ。 彼女も今回の事件に深い悲しみを感じて涙するとともに、 シリコンバレーでも 銃がいかにありふれた存在であるかを説明している。 アメリカの日常と銃の関係を知るのに、とても役立つ。 リンク→ [シリコンバレーでの私たちの暮らし] 銃について思った事 久保由美 私はニューヨークの黒人地区ハーレムに住む。 同じアメリカという国でありながら、 ハーレムとシリコンバレーは 住人の職種、平均所得、人種構成、気候、日常の文化など、 何もかもがまるで異なる。 なのに銃がとてもありふれた存在であることは同じ。 ただし、その「ありふれ方」も、やはり全く異なる。 このエッセイではハーレムも含む低所得地区での銃の在り方を表したい。 アメリカでの銃の在り方にいかにバラエティがあるか、 しかし、在り方が異なっても身近に銃が溢れていることに違いはなく、 結局、銃による被害者が出続けることに変わりはない * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *  アメリカの銃規制法は州によって異なる。 ニューヨーク州はかなり厳しく、 中でもハーレムを含むニューヨーク市は独自の、 さらに厳しい法を持つ。 一般人が銃を持つことはほとんどできない。 著名人もしくは自営業者などが自衛のために「所有許可」を取れても、 持ち歩く「携帯許可」はまず出ない。 銃砲店も市内には1軒しかなく、 他州のように量販店で日用品とともに銃が売られることはない。 しかし、銃による犯罪は起こり続けている。 規制の甘い他州で買われた銃が闇ルートで大量に流入し、 犯罪者がいとも簡単に入手できるからだ。 街角に佇む若い小物ドラッグディーラーやギャングのメンバーは 「職業上の必要」から銃を手に入れるが 、10代や20代の若者にとって銃は エキサイティングなオモチャでもある。 買ったからには使いたい。 だからパーティで ガールフレンドを巡ってケンカが起きた際にも抜いてしまう。 また、ギャング間の抗争では1人が撃たれるとその報復があり、 さらにその報復も起きる。 ハーレムには更生した元犯罪者が銃を持つ若者と対話し、 銃を捨てさせる活動をおこなうSNUGという団体がある。 彼らは銃撃事件が起こると被害者が運び込まれた病院に駆け付け、 報復を行わないよう説得する。 子どもを銃撃事件によって亡くした母親が設立した アンチ銃の団体もある。 ブロンクスにある団体は、 公園で家族バーベキュー・パーティを楽しんでいた時、 若者による撃ち合いが起き、 小学生の姪を亡くした叔母により設立されたもの。 ゲットーを歩くと時々、急ごしらえの祭壇を見かける。 銃によって人が亡くなった現場に 友人や家族がロウソウや花、 犠牲者が子どもの場合はぬいぐるみや風船を備える。 被害者の写真、寄せ書きのカードも壁に貼られる。 ニューヨーク市では、年に何度も銃の「Buyback」が開催される。 所定の日に指定された教会に手持ちの銃を持ち込むと、 本人の身元調査無しで警察が銃を引き取り、 代わりに200ドルのギフトカードが手渡される。 先にも書いたようにほぼ全ての銃は違法所持のはずだが、 毎回、驚くほど多量に集まる。 銃を持ち込む者の中には、子どもを持つ者も多い。 つまり、子どもたちは家庭の中に違法な銃があり、 かつ、ストリートを歩くと 撃ち合いに巻き込まれる可能性もある。 これは「親が悪い」「ゲットーに住むからだ、引っ越せ」の 単純な理論では解決できない根の深い問題だ。 こうした違法な銃を持つ者の中に、 中流以上の銃保持者が銃所持の拠り所とする 憲法修正第2条を唱える者はほとんどいないだろう。 貧困が低学歴を招き、その結果として職に就けず、 何より子どもの頃から銃犯罪を見慣れて感覚がマヒした結果、 銃を手に入れ、金を得るための犯罪を犯す。 このパターンが代々受け継がれ、 もはや負の文化として定着してしまっているのだ。 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *   今回の事件が起きたコネチカット州のニュータウンは 住民の平均世帯所得が10万ドル(800万円)の裕福な街。 誰もが「こんなことが起こるなんて信じられない」と言う。 しかし、住人の銃への意識、銃を持つ目的にかかわらず、 大量の銃に囲まれていることに違いはない。 銃規制を行わない限り、銃による被害者は決して減らない。 今夕、オバマ大統領は当地を訪れ、遺族と会い、 キャンドル・サービスに参加する。 アメリカでは非常に繊細な問題である銃規制法。 再選キャンペーンでは銃について敢えて語らなかった大統領だが、 事件直後の声明発表時には涙を見せた。 バラク・オバマは、2人の女の子を育てる父親でもある。 今度こそ、銃規制法改正への着手を心から願う。 動画:子どもたちは全員、 この強力なアサルト・ライフル Bushmaster .223 5 によって射殺された。 11発撃たれた遺体もあった。 この銃を一般人も合法的に買える国とは。 ビデオ:攻撃ライフル:ブッシュマスター.223 5.56mm 射撃練習風景
    追記:2013年3月19日、 この事件を受けて作られた攻撃用銃器禁止法案が廃案となった。 これにより、この事件で使われたアサルト・ライフルは 今後も多くの州で一般人への販売が続けられる。
    ニューヨーク・ハーレム・ジャーナル



    堂本かおる 
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書・木村怜由

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