ニューヨーク・ブラックカルチャーfromハーレム

New York Black Culture Trivia 2010.10.22
堂本かおる の 『from ハーレム』 (No.104)
人が死んで思うこと。
▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼ ■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆ 「ハーレム・ジャーナル」 人が死んで思うこと。 2010.10.22 Friday ■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆ ▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼ 一昨日、 ハーレムYMCA の入り口前の歩道で男性が撃たれて死んだ。 午後8時20分。こういう事件が起きるには早過ぎる時間。 翌日、その付近で知人にばったり出会った。30歳前後の黒人男性。 「久しぶりだね」「元気?」と言い合ったところで、 知人に「YMCA で銃撃があったって知ってる?」と訊くと、 なんてことのない顔付きで 「あぁ、その時、YMCA の中にいたんだ」と言う。 YMCA の体育館ではメンバーなら 誰でも参加できるバスケットボールの時間があって、 チーム制などではないけれど、常連がやってくることが多い。 犠牲者もその1人だった。 途中で抜けてYMCA を出た途端に 待ち伏せしていた犯人に撃たれたとのこと。 ハーレム育ちの知人にとって、 これくらいは特に珍しいことではないのである。 知人は淡々と事態を説明してくれて、 それから「じゃ、家族のみんなによろしく!」と 歩き去っていった。 * * * * * * * * * * * * その翌日、仕事でつながりのある人に、 近々ニューヨークに行くので安いホテルを教えてほしいと頼まれ、 特にハーレムYMCA を薦めたわけではないけれど、 「マンハッタンにはミッドタウンやハーレムも含めてYMCA が複数あり、 個室の割りに安い」といった旨の返事をした。 その時、2日前に起こった銃撃事件のことは全く考えていなかった。 なぜなら、 ハーレムも含めて黒人コミュニティ (というより低所得者コミュニティ)なら、 事件はある一定の頻度で起こる。 しかし、その多くが深夜から未明にかけて起こる。 午後8時に起こることは少なく、まして昼間にはほとんど起こらない。 だから事件現場を歩くことを私自身、今もまったく躊躇しない。 さらに言えば、自分が銃撃のターゲットになることはあり得ない。 だから「2日前に殺人があったから、 ハーレムYMCA は止めておくほうがいいですよ」という 思考に至らなかったのだ。 ある意味、ハーレム育ちの知人と感覚が似てきたのだと思う。 ただし、 人が死ぬことによって周囲の人間が破滅する事態には 慣れることができない。 犠牲者には16歳の息子がいるそうだ。 その少年の今後の人生を思う。ニューヨーク・ハーレム・ジャーナル
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