嫉妬(やきもち) (No.49)

嫉妬(やきもち) (No.49)


2003.10.15

中国の日系企業で働いていて一番怖いと思うのは「嫉妬(やきもち)」です。

人は自分以外の誰かが成功したり、出世したり、自分より人気があったりすると「良かったね」と素直に認める事ができないようです。
特に日本人はその傾向が強くて海外ではとても有名で認められている人が国内ではあまり認められていない
と言う事はよくあるようですし、身近な話題でも「あそこの家では家族連れで正月にハワイへ行った」とか言う時に素直に
「それはいい事ですね」と心の底から思える人より一生懸命あら探しをして他人の幸せを妬んだりする人が多いようです。

「相手をほめる事の重要性」については申し上げましたが、誰かがある人の事をほめると「でもこんな悪いところがある」とか
「でもこんな事もあった」とか何とかしてその人の悪いところを探そうとする人をよく見かけます。
これは中国の日系企業でも同じです。
人が集まるとどうしても自分と他の人とを比べる。
他の人の良い所を見て、自分を向上させるのならいいのですが、
「嫉妬(やきもち)」が怖いと言うのはその人の良い所を認めないだけでなくその人の「人の足を引っ張る事」です。

人の足を引っ張ってその人を自分より下に落としても何の得にもならないのに、
本当は自分自身がもっと頑張って自分自身を高める方がいいのに「嫉妬(やきもち)」
と言う感情は冷静さを欠いているので無意識にそうしてしまうのです。
そして、それだけで済めばいいのですが「自分は劣っている」と言う劣等感が「憎しみ」に変わり、
その人を攻撃するからです。

こう言う私も以前はとても「やきもち焼き」でした。
誰かが自分より優秀だったり、成功したり、出世したりすると一生懸命あら探しをしましたし、他の人と比べて自分が認められていないと思うと腹が立ちました。今でもまだ少しそのような傾向はあります。
でも、企業の中で働いて、それも国が違うと言う特殊な環境の中にいて日本と中国の間に立ち、
また、中国人の中でも人と人の間に立って働いているとこの「嫉妬(やきもち)」
と言う感情がどれだけマイナスになっているかを感じるのです。
そしてそのような気持ちがどれだけ会社に対してマイナスになっているか。
また、自分自身にとってもマイナスになっているかを感じてこのままではいけないと心の底から思いました。
自分自身が「やきもち焼き」と言う事もありこれまで特に注意してその影響を見て来ました。

私は転職回数がかなり多いのですが、どの企業でも必ずこの問題はあります。
そして、「業績が伸びない」「売り上げが上がらない」「社内の人間関係がうまく行かない」
などの問題が発生する原因の大きな要素になっているとつくづく感じるのです。

「人は誰もが自分が一番でいたい」と思っている事も申し上げました。だから「嫉妬(やきもち)」も感じるのでしょう。
自分より他の人の方が優秀であったりすると許せないと感じるのでしょう。

「私はこんなに頑張っている。能力もある。でも誰も認めてくれない。」そう思っている所に自分より能力があり認められている人がいたら腹も立ち、素直にその人の良さを認める事ができないのでしょう。でも、そんな事で腹が立ても仕方のない事です。
もしかしたらその人は表面的に繕っているだけかも知れません。もしかしたら要領がいいだけかも知れません。でも、評価するのはいつも周りの人なのです。自分でいくら「自分はすごい」と思っても周りがそう評価しないと何の役にも立たないのです。 
「誤解」かも知れません。世間は貴方の事を理解してくれていないのかも知れません。会社の評価は適切ではないかも知れません。でも、それをいくら考えた所で何の解決にもなりません。そんな事を考えるより、自分がするべき事を全力でするしかないのです。たとえ誰も解ってくれなくてもやるべき事をやる。それしかないのです。自分のレベルはそのままで相手を低く見た所で何の役にも立たず自分自身のレベルを上げる事こそが大切な事なのです。
それに嫉妬(やきもち)」と言うのは誰もが「みっともない行為」「恥ずかしい行為だと解っているのではないでしょうか?

成功した人を妬み、優秀な人に嫉妬し愚痴をこぼす。

みんな頭では解っていると思います。それでも多分本能的なものでしょう。
自分を守る為=自己防衛かも知れません。人はなかなか素直に認められないようです。
会社ではみんな大人として集っているのですから、自分が子どものようにやきもちを焼いていると言う事も認めたくないでしょう。

例えば、誰かが優秀社員で表彰される。それに対して陰で「でもあの人はこんな悪い所もある」と噂する。その時に「貴方はあの人にやきもちを焼いているんでしょう?」と言うとその人は激怒するでしょう。「違う!私はただ事実を言っているだけだ!」と反論するでしょう。そうなんです。みんな頭では「嫉妬(やきもち)」は良くないと解っていながらそれを止められないのです。
だからと言って、それをそのままにして置くわけには行きません。社員全員が協力する体制が必要なのに、
「嫉妬(やきもち)」はお互いの足を引っ張り合うからです。それではどうしたらいいのでしょう?

私の場合には「ただひたすら聴く事」や「ほめる事」で相手の「認められたい」と言う心を満たす事で全体の流れを整えます。

誰もが「認められたい」と思っていて「まだ認められていない」と思っています。
だから、積極的に一人ひとりを認める事から始めます。

どんな人間でも長所もあれば短所もある。そして、長所であっても度を過ぎると短所になりますし、
短所でも場合によっては長所にもなる。「長所を伸ばし短所を補う」とはよく言われる事ですがまさにそれしかないと思います。

「ひたすら聴く事」で相手を理解し、「ほめる事」で相手の長所を認め伸ばすようにする。
その時の態度は一貫して「太陽」であり、心を広く、豊かに保ち「心の力」を高めて接する。
この一連の行動や態度があれば必ず社内の人間関係は良くなり一人ひとりの能力が十分に発揮する事ができるようになり、
会社の業績につながってい行く事でしょう。
第一そのような会社は明るくて楽しい。
社員が「お金の為にいやいや」出勤して仕事をするのと「出勤するのが楽しい」
と思って仕事をするのとではどちらがいいのかははっきりしていると思います。

たまに「会社を良くする為にはどうしたらいいのですか?」と聞かれます。その時には「社員一人ひとりに心をかける事」
「目に見えない事を大切にする事」ですとお答えしますが、その意味は「社員一人ひとりに心をかける事」とは一人ひとりの
「認めてもらいたい」と言う気持ちを大切にして、心の中で一人ひとりを意識して「貴方は大切な人だと言う事を私は認めていますよ」
と想い、チャンスを見つけてはそれを「ほめる」と言う行動で伝えて行く事。
「目に見えない事を大切にする事」とは社内の「太陽」となり「聴く事」で一人ひとりを理解しようと努め、
「嫉妬(やきもち)」や「認めてもらいたい」と言う感情や心の動きを大切にして適切な手を打つと言う事です。
そして特に「嫉妬(やきもち)」は「認めてもらいたい」と言う気持ちがマイナスに表われた現象ですし、
本人は自分がやきもちを焼いていると言う事には気付いていないことが多いので細心の注意が必要です。
常日頃から心をかけ「この人はやきもちを焼きやすいな」と感じたらその「心の力」がプラス方向に働くように配慮します。

どこの会社にも感情的になりやすい人がいるものですがそう言った人は「自分が認められたい」と言う気持ちも強く
「嫉妬(やきもち)」の気持ちも強いようです。そしてこう言う人は「負けん気が強く」「頑張り屋さん」であったりします。
ですからこう言う人には普段から感情的になるとみんながどのような気持ちになるかを説明しますし、
同時に感情を抑えがちな人には社内的に目立たない事が多いので普段から「貴方のこう言う所は素晴らしい」と説明します。

会社には色んな人が集まって来ています。そして、
その色んな人が集まって色んな事があり色んな考え方があるから面白いのではないでしょうか?
社員一人ひとりを理解し、良い所を引き出す事ができれば会社の業績も上がるのではないでしょうか? 


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YAMAOKA yoshinori

yammy@mti.biglobe.ne.jp

http://www2s.biglobe.ne.jp/~yammy/

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