私の仕事。具体例のご紹介(2) (No.42)

私の仕事。具体例のご紹介(2) (No.42)


2003.02.09

では、中国人スタッフはどうだったのでしょう?もしかしたら、日本語が十分聞き取れ
なかったのかも知れません。或いは、全てちゃんと手配したのだけれど、手配した先。
例えばホテル側のミスで予約が入っていなかったのかも知れません。もし、中国人スタ
ッフが日本語に精通していたら「実はおっしゃる事が十分に解らなかったのです。」
とか「ホテルにはちゃんと予約を入れたのですがホテル側のミスで伝わっていなかった
のです。」と説明するかも知れません。でも、これらは日本人にとって単なる「言い訳」
です。「指示が解らなかったのならどうしてその時に聞き直さないのか!」「予約の確認
をどうしてしなかったのか!」全てごもっともなご意見です。そして、こう言った事が
よく起きるので先ほどの「中国人は・・・」の発言につながるのです。

その後、日本人は「中国人は・・・」と言う偏見を持ってしまい、そして中国人スタッフ
は「なんだあの日本人は、こっちは一生懸命やっているのに。だいたい自分がちゃんと
指示しなかったからではないか、それでも一生懸命に手配した。それが自分の責任でも
ない事で漏れていたと言うのにその理由も聞かず一方的に怒る。給料をもらっているから
仕方ないけれど、日本人ってなんて自分勝手なんだろう」と思ったりする訳です。

では、どうすればいいのでしょう?これも実に簡単な方法で解決します。それは「書く」
事です。

日本からお客さんが来る。それについて手配しなけれならない事柄を書き出す。その書き
出したものを中国人スタッフに見せながら指示を伝えます。そして、各手配の完了につい
て「手配完了」と「手配結果」、例えば電話にて予約、ホテルの担当者は誰。と言う事を
これもその「書き出した指示書」に書き入れて報告してもらうのです。

「そうは言っても報告しない」と言うのなら、例えばホワイトボードを用意しそれに来客
の予定を書き込み、要手配事項をも書き、そこに書いてもらうようにすればいいのです。
(目で見える管理って言うものですね)

ここでのポイントは「言葉の障壁を十分に理解する。」と言うことなのです。指示を伝え
る時に「口頭」のみでの指示は行わず、必ず書面で、それも相手が理解した事を確認しな
がら伝える。考えて見れば当たり前の事かも知れません。日本人同士でも「言った、いや、
言わない」でもめる事があります。ましてや日本人がカタコトの中国語で指示したにせよ、
日本語のできる中国人が指示を聞いたにせよ、「言った、言わない」でもめるのなら初め
から書面で確認すればいい事です。それをちょっとした手間を惜しんで(多くの場合は忙
しいからと言う理由で)口頭での指示となり確実に伝わったかどうかを確認しないままに
なり最終的に問題が発生してしまう。それでは遅いですから。

万一、このようにしても問題が起きたら・・・その時にはその原因。例えばホテルに電話
で予約し、担当者も確認していたが連絡ミスで予約が入っていなかったと言う場合には
FAXで予約確認をとるなり、時間を置いて確認の電話をいれるとか具体的な方法を採れば
一つ一つの問題は確実に解決しそれがまたノウハウとして残って行きます。この際、
「言葉の障壁」の裏側にあり、最も重要だと思われるのは「日本人と中国人の立場は同じ
ではない」と言う事です。中国人は一生懸命に指示を聞き、理解し、その通りにしようと
します。でも、日本人からの指示が曖昧だったり聞き取れなかったりした時に聞き返す事
をためらうのです。その理由はもともと日本人の指示が明確でなかったり、中国人スタッ
フの日本語能力の無さであったりしますがいずれにしても「日本人に気を遣って」の事
です。

どのような事も自由に話し合う雰囲気があり、能力的にも何の不自由もない状態であれば 指示は間違いなく伝わり問題も起きにくいのかも知れません。でも、例えそのような理想 的な状態であったとしても生まれ育った環境が全く違う者同士で意思を伝える訳ですから 確実さを追求し「文字」やできれば「図」で伝達する事で予想される問題は予め避ける ようにする事が大切だと感じます。私の仕事とはこのようにある具体的な問題点を表面的 だけでなくその背後にある原因を探し出し、それらについて一つ一つ具体的な解決方法を 考え出し、「決して後戻りしない方法」で問題の起こりにくい会社にして行く事なのです。 これはちょうど工場の生産管理をしているようなものです。日々生産していて完成した 商品に不良品などが発生するとその根本原因を探り出し問題の発生原因を根本的に改善 する。それがある程度できるようになり不良率が下がって来ると今度は不良率0%を目指 して「問題が起きる前に予防する措置」と採るようにします。 これら一連の作業は現場に答えがあります。ですから私は会社の内部に入り込んでの仕事 をさせて戴いています。それも外部の人間だとどうしても「本音」が聞き出せません。また、 このような問題は会社全体の問題や経営の問題とも密接に関係している場合がほとんど ですので会社内に入り込み、現場の人達と一緒に働き、それを日常の経営活動を踏まえて 現場、経営陣、中間管理者層など会社全体で解決して行かなければなりません。不良率 一つをとっても営業方針やコストを考慮すると一定の不良率を許さなければならないこと もあるでょう。現場に不満がある場合、内部の人間として不満の根本を聞き出す必要も ありますし、それを解決するには経営面を理解し、経営方針を見直さなければならない時 もあるでしょう。これが私の仕事です。そして、それら問題点が解決し起きなくなった時。 日本人から見れば表面的な解決方法しか見えず、その背後にある「中国人スタッフの日本人 に対する気遣い」や「中国人スタッフは日本人と立場が違うと感じており、その為に意思 の疎通ができない時もある」と言う問題発生原因の別の一面については理解する事はあまり ありません。 私の仕事は「日中の間で完全に中立の立場を採る事」なのですがこれは私の発言や行動が 「中国側にとっては日本側の立場」で、「日本側にとっては中国側の立場」で行う事にな ります。「社外でなく社内の人間でありながら日中どちらにも偏らず、全く中立の立場」 この立場を常に意識しながら仕事を進めます。そしてその結果、一定の時期までは日中 双方から「なんだあいつは向こうの肩ばかり持って」と言う事になるのですがそうでなけ れば日本と中国と言う言葉も違えば育った環境も生活習慣も全く違うもの同士が協力し 合って会社を運営する事はできないのではないのでしょうか?もしかしたらこれは私の 「自分勝手な考え」であり「偏った考え方」かも知れません。でも、一定の時期を過ぎた 時、話し合いに多くの時間を費やし同じ職場で同じ体験をしている中国人には次第に理解 してもらえます。もちろんそれまでには中国人を解雇すると言った事もあります。それで もそのやり方が現場に密着していて「多くの人達の幸福を実現する為」と言う立場を徹底 すれば中国人は必ず理解してくれます。 この「理解」を得る事。この事こそが私の仕事の最重要ポイントだと感じています。 (つづく) ======================================== YAMAOKA yoshinori yammy@mti.biglobe.ne.jp http://www2s.biglobe.ne.jp/~yammy/ ======================================== 「Yammyレポート」 バックナンバー

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