上海からの撤退−マンション契約の解除 (No.2-8)

上海からの撤退−マンション契約の解除 (No.2-8)



これからしばらく、私が経験した事例をご紹介します。

ある会社が上海から撤退しました。中国には代表処(駐在事務所)を登記し、
あるマンションを借り、そこを駐在員の住居兼上海事務所にしていたのですが、
問題がありこのマンションを引き払うことになったのですが、そのときの状況
をご紹介します。

このマンションのオーナーは台湾人。それも最近この物件を譲り受けたという
女性でした。上海には単身来ているようで、仕事はかなり忙しそう。よく出張
もしており連絡をとるのもなかなか難しい。上海の不動産賃貸状況もよく知ら
ない。こういうオーナーでした。

マンションの賃借契約は一年間。まだ契約して3ヶ月ほどしか経っていません。
これまでも家賃の領収書を出すように依頼し、何とか一回はしてくれたものの、
次からはできない。というような状況でもありました。


上海からの撤退−マンション契約の解除

さて、マンションの退去のはじまりです。でも、外国でのこと、何があるか
わかりません。幸い日本の社長は事情を理解していて、「次のマンションが決
まってから今のマンションを解約するように、家賃がダブっても構わないから。」
とてもありがたいお言葉。

そうです。
次のマンションがはっきりしていない状況でマンションを退去するという交渉
に入るのは精神的にも安定していないし、こちらは「住む」という重要な要素
がかかっているので弱みにもなりますし、また、何か嫌がらせがあっても
かないません。

次のマンションを確保し、完全に住めることを確認し、それからおもむろに
大家さんに電話で連絡しました。でも、何度電話しても電話に出てくれず、
何度目かのトライの後、やっと話ができたのですが、「一体どうしたのですか?
今日はみんなから電話がかかって来て大変だった。」マンションの引っ越しは
代表処の移動がからんでいるのでこちらで代表処の維持をお願いしていた会社
からも何度も電話があったようです。

「あの〜急な話で申し訳ないのですが、今のマンションを退去したいのです。」
「どうしてですか?もしかして私の身分証明書のコピー(※注)がとれない
から?」「いえ、そうではなくてここの場所では代表処の登記ができないので
他のところに移るのです。」「とにかく会って話しましょう。」

普段はなかなか会ってくれないのですが、今回は仕事のない土曜日ですがマン
ションまで来てくれることになりました。

そして、約束の土曜日。オーナーは会社の同僚という上海人の中年男性を連れて
来ました。「私は台湾人で事情がわからないのでこの人を連れて来た。」
これは厄介なことになったと思いました。

交渉人を立ててくると、交渉人はメンツがあるので必ずオーナー側に有利な
結果を得ようとして必死になるからです。そしてこの予感はあたりました。

※注:事務所登記の変更が必要でそのためにはマンションのオーナーの身分
証明書が必要だったため依頼したことがあったが、台湾人オーナーは準備でき
なかった。


(次へ続く)


Yammy
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YAMAOKA yoshinori
yammy@mti.biglobe.ne.jp
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