自分が思っているほど...ではない (No.2-6)
この数年、事実上、個人で「中国業務コンサルタント&中国語講師」をして いるような私ですが、そのおかげで数多くの企業で働くことができています (もう軽く10社を超えています)。特に会社としてコンサルタントを受けるの ではなく、実際に社員(あるいは社員相当)として入社して内部の人間として コンサルタント活動を行うので、外からはなかなか見えない、そして内部の 人間もなれてしまって気付かない問題点もよく見えるのかも知れません。 日中の間に立っていると「相互理解」がいかに大切かがよくわかります。発生 している問題のほとんどが「相互理解」が不足しているために生じています。 中国で勤務する日本人がよく口にする言葉: 「中国人はどうしてこうなんだ?!」 つまり、日本では考えられないこと(多くの場合マイナスイメージ)を中国人 はするということですが、これはちょっと考えてみれば理解の不足であること が多いようです。 「中国人は仕事はしないでお金ばかり欲しがる」 あるいは: 「中国人は給与のほんの少しの差でも転職してしまう(=愛社精神がない)」 でも、中国に進出した企業は安い労働力が欲しくて、つまりお金が欲しくて やって来ているのだし、また、少しでも安い労働力を得るために地方からの 出稼ぎ者を雇う。そんな人たちは短い時間で稼いで地方に帰ろうと思うのが 当然ではないでしょうか?それに多くの企業は中国の法律で定められた最低 賃金をもとに給与を決めています(つまり違法にならない最低の賃金しか支払 わない)。 もともとお金のために出稼ぎに来ているのだし、技術を習得しようとか文化 レベルを上げようというのではなくただただお金儲けが目的になるのではない でしょうか? 「そんなこと言っても実際には...」 はい、実際にはいろんな例があることはよくわかるのですが、それでも少し 理解しようとすれば問題が解決することが多いように思えるので敢えて取り 上げました。つまり、中国で働いていて、あるいは中国人と働いていて 「なぜ?」 「どうして?」と思ったときに、「自分が思っているほど...ではない」と 冷静に考えてみてはいかがでしょうか?という提案です。 人はどうしても自分中心になってしまうようです。自分は誰よりも中国や 中国人を理解していると思い、誰よりも頭が良く、優秀で、仕事もできて、 細やかな心遣いもでき、ビジネスができ、商売も上手だと思ってしまうよう です。 「そんなことはない」 はい。冷静に考えているうちは、誰もが謙虚でなければならないと知っている ので、そんな傲慢なうぬぼれは否定するでしょう。でも、中国人の問題を指摘 するときにはどうでしょう?ただ、むかついて?冷静さを失い、自分のことは 棚に上げてしまいませんか?あるいは自分では冷静になっていて、相手の成長 のために問題を指摘していると自分が絶対正しいと傲慢になっていませんか? 実は私自身、そのことの連続なのです。ふと気付くと傲慢になっていますし、 自分が絶対正しいと思い込み、また、自分の考えのみが正しいと思ってしまい ます。そしてそうなるときには決まって失敗をするのです。当たり前ですよね。 宮本武蔵と佐々木小次郎の話を持ち出すまでもなく、感情をコントロールし、 冷静にものごとに対処しなければ正しい判断はできません。今考えると、数々 の失敗は、感情をコントロールできず、自分の考えが正しいと思い込み、 メンツも関係してしまって冷静な判断ができなかったときなのです。これまでも そしてこれからもその傾向はあり続けるでしょう。だから、これは自分への 戒めの意味もあるのです。 「自分が思っているほど、中国人はいいかげんではない。」 「自分が思っているほど、自分自身、優秀ではない。」 「自分が思っているほど、自分は相手の気持ちを理解していない。」 「自分が思っているほど、自分は謙虚ではない。」 「自分が思っているほど、...ではない。」 ちょっとしたことですが、このことを考えることができれば、相互理解も深まり ますし、何より自分自身の精神的な向上にもつながると思います。 なぜそんな説教じみたことをグダグダというか? それは多くの日本の企業が 「自分が正しい」という独善に陥っていてそのために事業がうまく行かない ようだからです。 これまでのほとんどの会社には問題があります。だから私が呼ばれるのですが、 その問題の根本は実は社長自身にあることが多いのです。 「自分はこんなに社員のことを考えているのに社員はこたえてくれない。」 「自分は社員を自分の子供だと思っているのにわかってくれない。」 「自分は一生懸命にやっているのに、社員は...」 「うちの社員はどうしてこんなんだろう?」 社員に対して不平不満を言う社長は自分も同じレベルなのです。 社長自身、本当に実力があり、思いやりを持ち、優秀であるのなら何の問題も ないでしょう。でも、人は完ぺきではない。だから、何かしら問題がある。 そして、それを常に意識して独善に陥らなければ企業は問題はあってもそれを 自己解決して成長してゆくでしょう、でも、自分は正しい、自分は優秀だ、 自分は思いやりがある、自分は、自分は、自分は...ちょっと考えてみたらいい と思うのです。そんな「自分は...」と言う社長に自分はついて行けるのかどう かを。 「自分が思っているほど...ではない」そう思えた人が強力なリーダーシップを 持つことができ、会社を正しい方向に導いて行くことができるのではないで しょうか? え?それは日本の会社のことであって日中業務には関係ないって? いえ、 「類は友を呼ぶ」あるいは「今のあなたにちょうどいい」。会社のリーダーで ある社長のふさわしい人が日本でも中国でもちゃーんと集まっているようです。 だから問題を解決したいのなら... はい。簡単です。自分が変わることです。 「でも、社長たるもの自分自身に自信を持っていなければならない」 確かにそうです。でも、そこがポイントで「自信」は必要ですがそれが「過信」 になると弊害が生じるようです。 何事も「過ぎたるは及ばざるが如し」。これも皆さんよーくご存知のはず。 そんなことを私のような個人コンサルタントが偉そうに言うことこそ傲慢なの かも知れません。でも、私のような経験をした人はまずいないと思うのです。 そして、皆さんよーくご存知なのに、自分を過信している社長がいかに多いことか... 高度経済成長期の右肩上がり経済の時流に乗って来たため、強引でもわがまま でもワンマンでもやってこれたからかも知れません、YESマンばかりを回りに 置くようになったためかも知れません。「良薬口に苦し、忠言耳に逆らう」 これも皆さんよーくご存知のはず、でも、耳の痛いことは聞きたくない。 自分の過信を戒め、自分が思っているほど偉くないと思い、他人の意見に耳を 傾ける。昔から成功者はみな同じだと思うのですが違うのでしょうか? おっとどうやら私もしゃべり過ぎたようです。 皆様が「ちょうど程よく」自信を持ち、うれしく、楽しく、幸せに暮らして 行けますように! 2007.01.05 Yammy ======================================== YAMAOKA yoshinori yammy@mti.biglobe.ne.jp Mr.Yammyの上海レポート第二弾バックナンバー ========================================
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