言葉について(その3) (No.2-3)

言葉について(その3) (No.2-3)



「日本人は際限なくしゃべり続ける癖がある。ただしその70パーセントはぐち
と未練と言い訳であって、本人の決断とは関係ないから切り捨てること。」
(英語と運命 つきあい続けて日が暮れて 三五館 中津燎子著 より、中津
 さんのお兄さんの言葉)
戦後、占領軍の通訳として活躍されていた中津さんのお兄さんらしい、経験に
裏打ちされた、鋭い指摘だと思います。

私のこれまでの経験、特に学校を卒業した後、社会で経験したことは「日中
関連業務」といえばカッコが良すぎますが、要するに「通訳」だったと思い
ます。その「通訳」としての経験でもこの中津さんのお兄さんのおっしゃる
ことわかるような気がします。

「日本人は際限なくしゃべり続ける癖がある。ただしその70パーセントは
ぐちと未練と言い訳。」多くの日本人は自分では気付いていないでしょう。
(もっとも「自分のことを知る」というのが世の中で一番難しいことかも知れ
ませんが)でも、確かにそうですし、そのことが誤解を招いていると思います。

これに前回ご紹介した「(日本人は)本当に言いたいことは最後に言う、或い
は言わずに雰囲気でわかってもらおうとする。」に加えて今回のこの癖がある
ことで仕事上では「中国人は日本人が伝える意味を正確に理解していない」と
感じその原因は「中国人通訳が正確に通訳していない」となり或いは「中国人
は理解力がない」ということになっていくようです。でも、本当の原因は、
実は日本人自身のコミュニケーション能力、もっと正確に言うと「自分の考え
ていることを人にわかるように正確に伝える能力」に問題があるからだと思う
のは私だけでしょうか?

「君たちの管理に問題がある。」
ときっぱり言うだけで後の説明は必要ならするけれど、相手の顔色を見て、
自分でもうわかっている場合にはくどくど言わない方が効果的かも知れません。
でも、この時に、日本人はどうやら「(余計な?)気遣い」をして、相手を傷
つけまいとしてくどくどとしゃべるようです。

これは日本人特有の思いやりでもあるでしょう。
直接的な表現は相手に対して失礼であり、色々しゃべってその雰囲気でわか
ってもらうようにする。
相手に問題があってもそれをズバリ指摘してしまっては相手のメンツがない。
だから、間接的に説明してこちらが伝えたいことをわかってもらう。
とても素晴らしい文化だと思います。でも、本当に残念ですがこれは日本人
同士だけで通用する習慣で、外国ではかえって誤解を招いてしまうようです。

「どうも自分の思いがちゃんと伝わっていない。」
「中国人通訳がちゃんと通訳していないようだ。」
「自分の意図が間違って伝わっている。」

そう感じたら一度自分自身の発言方法(内容ではなく方法です)をかえりみて
ください。もう一つ、日本人の発言方法についての例をご紹介します。

私はたまに「同時通訳」をします。
仕事に関係がなく、話の内容も軽い世間話の場合、全く機械的に日本人の話す
日本語を一言一言同時通訳します。すると中国人には日本人の話す意味が
わからなくなります。そして最後には私に「山岡さん、(日本人の話して
いる意味がわからないから)通訳してください」と言います。確実に、完全
に通訳しているのにです。

日本人は日本人で「どうして相手は自分の言っていることがわからないの
だろう?これはちゃんと通訳されていないからではないだろうか?」と思う
ようですが、実際には一言一言、間違いなく完全に通訳していても次のような
状況になるとどうでしょう?

日本人「あの〜、例の件はどうなっている?」

中国人「例の件と言いますと何でしょう?」

日本人「(今、仕事で問題になっているというとあの件しかないのにどうして
       わからないのだろう?仕事のことを考えていないのだろうか?)例の件
       と言ったら例の件。昨日のクレームの件だよ。」

中国人「(クレームの件というのはわかっているけれど、昨日は大きなクレー
       ムが二つあった。数量不足と品質問題。そのどちらだろう?)昨日の
       クレームといいますと(数量不足と品質問題のどちらですか?)?」

日本人「クレームと言ったらクレームだ。品質問題に決まっているだろう。
       (本当に中国人は何を考えているかわからない。)」

中国人「(なーんだやっとわかった。でもどうしてこんなに怒るのだろう?
       いつも、そうだ。まあ仕方ないからだまっておこう。)品質問題ですね。
       その件は昨日、品質管理責任者に伝えました。(そして、その結果、
       問題の原因には二つの要素がありそれを検証するのに一週間ほど時間
       がかかります。)」

日本人「(伝えたって、またいつものように伝えるだけだ。何の解決にもなら
       ない。具体的な方法を採らなければならないのに、本当にいつも無責任
       だ。)伝えたって言っても具体的な解決方法を考えなければならない
       だろう!」

中国人「(だから具体的な方法をすでに考えていてそれを説明しようと思った
       のに途中で急に怒り出すんだからどうしようもない。まあ、反抗したら
       また叱られるから黙っておこう、そして先ずは謝っておこう)すみま
       せん。」

日本人「すみませんじゃあないだろう!まったく!いつも言っているように
       問題が発生したら先ず根本原因を分析し、問題の根本から解決しな
       ければならない...」

中国人「(あーあー、また演説がはじまった。早く仕事に戻りたいのに...)...」

自分の思いや気持ちを正確に伝えることは先ず日本人特有の表現方法を理解し、
その上で、相手が理解しやすいようによく考えて話す必要があるようです。
そして、その際、どうしても中国人は説明不足になるので中国人の考えや状況
報告(これをよく聞かないと言いわけしていると誤解してしまう)をよく聞く
ことが大切だと思います?え?そんな時間はないって?でも、このことを
おろそかにすると次の例のように後々まで影響が出るようです。


2006.09.24


Yammy
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YAMAOKA yoshinori
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