中国語の特徴 (No.2-14)
日本の中の中国−中国人研修生とともに 今、滋賀県彦根市のある鉄工所で働いています。中国語の通訳もたまにはする のですが主に旋盤などの加工機械工として中国人研修生たちとともに働いて います。これまでなら管理者として中国人とともに働くことはあったのですが 今回は全く同じ仕事を同じ立場でしているのでこれまでになかった色々な興味 深い経験をしていますのでご紹介します。 ■中国語の特徴 「中国語は日本語のような尊敬語や丁寧語などがあまりないぶん、相手への 尊敬などの気持ちが日本人よりはっきりと出る」 中国語との付き合いはもう30年になろうとしていますが、今更ながらそのこと に気付きました。 今の職場では中国人研修生が日本人管理者の下で働いています。これら中国人 研修生は簡単な日本語はできるのですがそれも単語程度でやはり言葉が不自由 です。日本人管理者は二人いるのですが言葉が通じないので通訳として中国人 女性が事務所にいます。この中国人女性が中国人研修生たちにとっている態度 を観察していてはっきりと気付いたのです。この中国人女性の研修生たちへの 態度がとても偉そうなのです。 年齢が違う(40歳過ぎの女性に対し20歳から35歳の研修生)ということもある でしょう。また、立場的に研修生を管理しているということもあるでしょう。 それでも、ちょっとした会話。例えばお昼休みに「おはしはどこにある?」と 聞くのですがその聞き方。特に態度はお世辞にも丁寧とは言えず、かなり ぞんざいで日本人から見て「バカにしている」とも見える態度でした。 そう思って私自身のこれまでの経験を振り返ってみると、思い当たることが たくさんありました。そう、中国語は表現が簡単なだけに、話者の気持ちが ストレートに出る言葉のようです。例えば中国でタクシーに乗る。日本なら 「あのー、すみません。梅田までお願いします。」とでもいうところを中国語 では「梅田」とだけ伝えます。普通に言うか、相手を馬鹿にしたように言うか はその言い方というか態度で表現します。そんな目で職場を見直すと、中国人 研修生は日本人に対してとても気を遣っています。自分より年下の日本人 管理者に偉そうに言われても(言葉はわからなくても気持ちは通じるようです) 笑顔で黙って従って、そしてあくまでも相手を尊重している態度を保っています。 不平不満もあるでしょう、そして言葉が通じればあれもこれも言いたいことが たくさんあるでしょう、それらをグッと腹の中におさめて「私はあなたに対して 服従します」と精一杯の笑顔で表現している。 どんなことがあろうと我慢する。そして三年間我慢すればお金を貯めて帰国 する。彼らと一緒に働いていると、特に同じ立場で働いていると彼らのそんな 気持ちがひしひしと伝わってきます。 幸い、今の職場にはとても素晴らしい日本人管理者がいて、このような中国人 研修生たちを気遣い、また大切にしているのですが、それでもそうではない 日本人もいるし、同じ中国人をバカにしているとしか思えないような中国人 もいる。そしてそれらは態度ではっきりと現れている。 日本語はその話し方や表現方法である意味「ごまかす」ことができるようです。 たとえ心の中で相手を見下していても丁寧な言葉遣いをすることで「私はあなた を尊重しています」ということを表現できますが、中国語は日本語ほどは ごまかせないのかも知れません。これは中国人が大陸性とでも言うべきおおらか さを持っているからとも言えるでしょうし、今の中国が旧社会の影響のない 新中国であるからでもあるでしょうが、少なくとも今の中国語は日本語に比べて ずっとシンプルでストレートなので話者の気持ちは言葉以外の態度で表すよう です。 日本人には是非ともこの「中国語のシンプルさ、ストレートさ」を理解して いただきたいし、言葉がどうしてもぶっきらぼうになるので日本人が好む言葉 での尊敬表現や丁寧表現だけでなく説明の仕方もストレートになることを理解 してもらいたいと思います。そして頭で理解していても現場ではその多くが騒音 があるため、そして現場では生産優先であるためゆったりした気持ちで説明した り相手の発言を聞いたりすることができないためにどうしてもイライラしがちで カチンと来やすいことも理解していただきたいと思います。 本当は中国人研修生も日本人管理者も仕事がうまくいって欲しいと思っている。 その思いは同じはずなのです。 Yammy ======================================== YAMAOKA yoshinori yammy@mti.biglobe.ne.jp Mr.Yammyの上海レポート第二弾バックナンバー ======================================== 第一弾「Yammyレポート」 バックナンバー
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