上海からの撤退−マンション契約の解除(その7) (No.2-13)

上海からの撤退−マンション契約の解除(その7) (No.2-13)



交渉人はなおも「半年間分の家賃」にこだわり、一歩も譲りません。
「そうなると弁護士を頼むしかないですね。」
と言っても「のぞむところ」といった感じです。

そこで、これまでは交渉人の顔を立て、交渉人との交渉でしたが、そばで
やりとりを聞いているオーナーの方に向いて「○○さん(※注1)、どう
したらいいですか?」と「心の力」を使ってお願いしたところオーナーは
「わかりました。おっしゃる条件で構いません。」ほっとしました。でも、
交渉人はまだ引き続き交渉しようとします。でも、それをこのオーナーは
「もういいのです。」ととめてくれ、交渉人もかなり不服そうでしたが
「あなたがそういうのなら」と引き下がってくれたのです。

その後はまたにこやかな雰囲気に戻り、オーナーは私のこれからのことを
心配してくれます。「事務所をたたんで日本に帰るというけれど、あなたは
どうするのですか?私は人事関係の仕事をしています。よかったら仕事を
紹介しますよ。」

交渉事は交渉事。でも、それが終われば友だち?
何のしこりも残っていないようです。

この件で学んだのは、やはり人と人との関係は真心だということです。
誠心誠意という言葉をよく耳にしますし言葉にもしますが、相手をごまかす
ためではなく、心から相手のことを思いやる。その想いは通じると思うの
です。そこに「自分が、それも自分だけが得をしてやろう」とか「相手を
負かせてやろう」とかいうマイナスの心の力が作用するとどうもよくない
ようです。

このオーナーとはこれ以外にも色んないきさつがありました。
光熱費の支払いについても我々が日本に引き揚げた後のことなのですが、
こちらの言い分を聞いてくれ、信じてくれ、こちらの言うよう(※注2)
にしてくれました。

今流行りの言葉で言うとWinWin(ウィンウィン:共に勝つ)とでも言うの
でしょうか。(私は「勝つ」というより共に得るものがあり幸せになる
という意味にとりたいですが)本来の目的である「最善の状態を探り出し
ともに幸せな気分になる」ということを忘れず一所懸命になれば必ず道は
開かれる。そう思ったひと時でした。

※注1:中国人にとって相手の名前を呼ぶというのはとても重要なこと。
相手を重要視していますよ。という意思表示になります。子供にも必ず
「呼びかけ」を強制します。

※注2:上海事務所の開設と維持を任せていたコンサルタントに光熱費の
支払いを依頼し、オーナーは光熱費の請求書が来たらこのコンサルタント
に連絡し支払いを受けるようにしたこと。

(終わり)


Yammy
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YAMAOKA yoshinori
yammy@mti.biglobe.ne.jp
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