中国の理解のために。私の失敗(その3) (No.17)
2001.05.19 「日本人也是人(口巴);日本人も(中国人と同じように)人間でしょう」 1990年、北京でアジア大会が開催されました。当時、ある日本のスポーツ用品 メーカーで中国での生産及び日本とアメリカをからめた貿易を担当していた私は 日本人を二人連れて北京に入りました。 久しぶりの北京でした。街はアジア大会開催のため、全体的に整備され、道も広く なっていましたし、環状線もありました。たまたまある人に花束を届けなくては ならなかったのですが、鮮花もホテルの一階で頼めば、部屋まで届けてくれるほど まで便利になっていました。(一昔前は友諠商店しか鮮花は売っていなかった) 時間ができたので北京の街を散策し、お昼に美味しい肉まんを食べようと言う事 になり、以前から知っていたお店に行ったのですが、一階はさすがにお昼なので お客さんがいっぱい。(※注) せっかくなので、二階にあがり、料理を注文して一息ついた時、一緒にいた日本人 が「タバコが吸いたい」と言い出しました。そこはフロアー全体が禁煙だったので 私が「ここは禁煙ですから・・・」と言うのですが、お客さんは「外国人だから 何とかなるだろう」と引き下がってくれません。仕方なく、私が通訳して: 「タバコを吸いたいのですが・・・」 案の定「ここは禁煙です。」との答え。 「そこを何とかお願いできないでしょうか?彼らは外国人ですし・・・」その時、 お店の人が毅然とした態度で、でも、微笑を絶やさず言った言葉がこの「日本人 も同じ人間でしょう」です。 当たり前の話です。日本人、いえ、外国人と言っても同じ人間。規則は守らなけれ ばならない。それを外国人だからといって特別扱いはできない。私はこう言われて、 かえって気持ちが良かったです。外国人だから特別扱いしてもらえると言う甘い 考えを否定してくれたからです。 ただ、それまでの中国は外国人を特別扱いしていました。例えば、列車の切符や 飛行機の切符は外国人料金として中国人より高い価格でした。確かに切符の手配 が大変なこの国で、外国人ならパスポートを見せることで楽に切符が買えると言う 状況もありましたので、高くても仕方ない。或いは高いから手配し易いんだ (サービス料込み)と納得もし易かったと思います。 その一方で、外国人。ここでは俗に中国通と思われている日本人を指していますが、 この「外国人は特別扱いしてもらえる」と言う事を傘にきて「困ったら外国人だと 言えばなんとかなる。」と規則を平気で破る人達も確かにいましたし、今もいる ようです。 これは変だと思います。外国人だから、日本人だからと言っても別に特別な存在 ではない。同じ人間として平等に扱われるのが当然でしょう。今の中国は時々刻々 と変わっています。決して昔の中国ではありません。外国人であることを利用する 時代は終わったと思います。 かと言って、外国人なのに、中国人と同じように振る舞うと言うのも問題かも 知れません。話が矛盾するようですが、ここ中国ではやはり我々は外国人なのです。 いくら中国語が堪能で風俗習慣を理解していても外国人はやはり外国人だと言う事 を忘れると失敗する事もあるでしょう。 「外国では常に日の丸を背負っているつもりで行動しなさい」 つまり、日本人が外国にいると、その土地の人はその日本人の事を日本人の代表 だと思うと言う事です。一個人としてではなく、日本人の代表として見られている と言う事を常に意識しておく必要があるように思います。 外国人としての特権は利用しない。でも、外国人だと言う事を忘れずにその国の 人々に接する。理想かも知れませんが、私は大事な事だと思っています。 ※注:
今でもこのようなお店は多いのですが、肉まんなどの点心類のお店では一階では 点心のみでも注文ができ、二階になると、他の中国料理を頼んで最後に点心を頼む と言うスタイルになっていました。 ======================================== YAMAOKA yoshinori yammy@mti.biglobe.ne.jp http://www2s.biglobe.ne.jp/~yammy/ ======================================== 「Yammyレポート」 バックナンバー
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