中国の理解のために。私の失敗(その2) (No.16)

中国の理解のために。私の失敗(その2) (No.16)


2001.05.10 「山岡さん、従業員が来ません!」 南京で合弁企業を管理している時です。 たまたま私が出張で日本に戻った時に、南京に残っていたもう一人の日本人か らの電話連絡です。 合弁企業とは日本と中国の企業が一緒になって一つの企業を作るのですが、そ の中国側の代表をある事情で解雇した後の事でした。 中国にある外国の企業ではたまにあることです。 従業員が何らかの不満があり、それを行動で表す為に、ストライキや抗議行動 を起こすのです。 今回の件は、予想していました。そして、手も打っていたのですが、私の留守 を突かれました。 連絡をして来た日本人は中国語も不自由で、連絡を受けた私は、本来ならすぐ に南京に戻るべきですが、かと言って出張して来た以上、日本での仕事もあり ます。 問題が発生した時の為に用意しておいた、中国人(解雇した中国側代表に相当 する能力を持った人)に連絡をとり、すぐに対処しましたが約3ヶ月間は生産 能力に影響がありました。 南京に戻って色々調査して見ると、首謀者は、やはり解雇した中国人でした。 ストライキの準備の為に、毎日、昼間の仕事終了後、従業員達を集め夜中まで 会議(と言っても一方的に自分の意見を述べるのですが)をしていたとの事で した。 中国側につくか日本側につくか。 最終的に従業員にとって決め手になったのは「日本人は日本に帰ってしまうか も知れない。でも、中国人はずっと中国にいる。だから中国側につきなさい。」 と言う説得でした。 痛いところを突いて来ます。 この件は、南京に戻ってからいろんな方法を使い、離れた従業員を戻す作業を 行い、最終的にはほぼ問題が起きる前の状況にまで回復しましたが、それでも 失った従業員も多くいます。 この件から学べる事は、問題が大きいので色んな面があると思います。 常に何が起きるか解らないのでそれをシミュレーションし前もって手を打って おく事の重要さもそうですし、手を打っていても社内スパイがいたりしてこち らの予想とは違う形で問題が起きる可能性がある事を知っておくことの重要さ もそうです。でも、一番大きいのは普段の従業員とのコミュニケーションの大 切さだと思います。 日本でもそうですが、人の上に立つものとして、日々、従業員達の顔色を見て、 精神状態をある程度把握する事に努めていないと問題が起きますし、また、問 題が起きた時に対処できなくなります。 これは一昔前の日本のように社員間で赤提灯で一杯やると言うのではありませ ん。 従業員達に心を注ぐと言えばいいでしょうか。従業員達とちょっとした会話を するのもそうですし、待遇などで細かな対応をするのもそうでしょう。 でも、私なりに感じるのはそう言った目に見える形だけでなく、目に見えない 形での対応が重要だと思います。コミュニケーションが大切だと言っても言葉 だけではすぐにばれてしまいます。 本当に心の底から従業員をいたわり、かと言って決して甘やかすのではなく自 分の子供のように厳しく、そして優しく対応する。 人の心は見えません。不満も憎しみも見えません。一番怖いのはこう言った目 に見えないことではないでしょうか?だから、目に見えないことを大切にする 必要があると思います。 日本人で、中国に会社を作る事は今はもう簡単にできるようになりました。 成功する人もいれば失敗する人もいます。 成功する人はいいのですが、失敗する人の多くは中国のせいにします。目に見 える事にしか注意を払わないと、失敗した本当の理由が見えないからだと思い ます。 今回ご紹介したような事に遭遇したら、皆さんはどう思われるでしょうか? これだから中国は解らない、だめだ。と問題が発生した理由を自分ではなく外 に求めませんか? 自分の普段の従業員に対する心遣いが不足していた、或いはつかみきれなかっ たと問題の原因を自分に求め反省する人のみが中国でも成功するように思いま す。 ======================================== YAMAOKA yoshinori yammy@mti.biglobe.ne.jp http://www2s.biglobe.ne.jp/~yammy/ ======================================== 「Yammyレポート」 バックナンバー

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