中国は特殊な国??(5)役職
No.05 2006.10.23日系進出企業からは最近、董事長と総経理は何が違うのか?どのように役職を 考えたらいいのかとういう相談を受けることがよくある。中国語から日本語の 翻訳では、董事長=会長・総経理=社長というように翻訳されているが、 この訳は正しく意味を伝えていない。 上場していない日本の株式会社では、代表取締役が主要株主と会社の実務運営 の最高責任者も兼ねているが、中国では明確に区別されている。 董事長:法定代表人である。実務の最高責任者ではない。有限公司の最高権力 決定機関は董事会でありその議長となる。欧米で言われるCHAIRMANが 最も近い翻訳ではないかと思われる。 総経理:董事会で決定された事項に従い有限公司の実務運営を行う最高責任者 となる。欧米で言われるGENERAL MANAGERがふさわしい。 すなわち実務の最高責任者と会社の最高議決機関である取締役会の最高責任者 が明確に区別されている。 ※ 中国では有限公司の実務運営については、董事会=取締役会で決定された 事項に従い、総経理が実務運営にあたる。 このような中、最近の華東(上海・江蘇・浙江)・華南(主に広東)では総経理 に対する個人所得税徴税の厳格運用が実施されつつある。これは、どのような 理由によるものかとの質問を受ける。その理由は下記のような状況から見られ る現象である。 上場されていない日系企業でよく見受けられるのは、日本本社の社長が董事長 と総経理を兼ねており、副総経理は日本本社からの派遣社員や中国人スタッフ に任せている企業が多い。 中国当局はどのように見ているかというと、総経理は会社の実務の最高責任者 であり会社の実務運営を行っていることから常駐していなくても中国での滞在 期間については、課税する動きとなっている。【一般に中国での居住者認定 (個人所得税納税義務)は1年間で183日以下の場合『日中租税条約』は、 非居住者とみなされ個人所得税徴収の対象とならない】 日本の社長が、総経理を兼ねている場合中国で無給の状態であっても中国滞在 日数分を日本の収入から支払うこととはる。 また、総経理の役職は、実務の最高責任者であることから、総経理の任期中に 現法で問題が発生した場合(例:現法で増値税について悪意を持って脱税 した場合に刑事責任が発生する。)当然総経理が責任をとわれることとなる。 企業によって様々な諸事情があるかと思うが中国での役職については十分に ご注意いただきたい。特に現在の勤務先で総経理を拝命されたこれから着任 される方においては、十分ご注意いただきたい。 2006年10月23日 T.H. ================================================= 中国コンサルタントTHレポート バックナンバー: http://yousworld.com/marugoto/htm/th-back.htm =================================================
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