食堂管理から垣間見る中国の管理

食堂管理から垣間見る中国の管理

No.02 2006.06.19
ある合弁会社を監査したときの話をさせていただく。

この会社は、精密電子部品の生産会社で海外から保税で部品を輸入し
組立を行っている工場であり、従業員は千名を超える規模であった。

この工場の部品・製品倉庫管理は非常にお粗末で帳簿在庫と現物在庫
が大きく乖離しているような工場であった。

ところが、食堂管理については、米、味噌、油、野菜、肉については
冷蔵庫や倉庫からの出し入れについてきっちりと管理され、毎日の
使用量と残高の管理も日報と管理帳簿を用いて管理されており現物と
在庫帳簿の齟齬もなかった。食堂の管理がこれほど行き届いているなら、
倉庫管理も十分できそうなものでると思ったのだが。

食堂の管理は、工場の総務が行っているとのことで、彼らに管理状況を
ヒアリングしたところによると、千人の労働者が1日2回食事を行うと
して一人当たり1回1元の不正が行われた場合(例えば、使用する卵・
米・野菜・肉を1級品から2級品へ落としたりする)、1日で2千元、
1ヶ月(20日)で4万元、1年で48万元の不正が発生する。

このような状況下で食堂を担当したがるスタッフが多いが、社内では
食堂担当者は常に周囲から厳しく監視されているとのことであった。
(最近では、工場の食堂運営については自社で行わず、複数の業者で
運営させ評判の悪い業者を落とすような管理を行っている企業が多い)
 このような例から中国のスタッフは、自分たちの利害に直結すること
が理解された場合には、その管理能力や相互抑制が十分に発揮される。

このあたりの考え方をうまく工場管理に結び付けられればすばらしい
管理体制ができると思われるのだが。

再度、この工場を監査させていただく機会があったが、その際にも
食堂の管理だけは前回と同じようにすばらしかったが、部品と在庫
管理については残念ながら大きな進歩を見ることはできなかった。
 

2006年06月19日

T.H.
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中国コンサルタントTHレポート
バックナンバー:
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