第四回 浦東を描け!(下)
いよいよ全体の塗装段階に入りました。 農民画の特徴のひとつである「鮮やかな色彩」。 今回はその農民画の色彩の秘密についてお話しましょう。 まずは、私の今回の課題作品「浦東」の完成図をご覧ください。 色彩の対比が鮮やかで一見派手に見えますよね。 でも、実は使っている色の種類はそんなに多くありません。 絵の主要構成物はほとんど以下の4色で塗り分けているんですよ。 ピンク 緑 青 黄土色 もちろん、それぞれに濃淡をつけたり、色をかけ合わせたりしてはいますが、 この4色から離れないようにすることで全体の統一感を維持しています。 おっと、でも、そもそもどうして上記の4色を選んだのか、 を説明しなくてはいけませんね。 ・・・といっても、ここは作者のイメージ(どうしたいのか)しだいです。 今回のこの絵では舞台が「浦東」で2010年に万博があるので緑主体にしたい、 ということで緑を中心に、緑が映える色として上記の色を選びました。 ただ、色の選定は本当に難しいですね。 先生曰く、中国人は明度の高い色を並べても違和感を覚えないそうですが、 日本人はどちらかというと派手な色は避け、淡い色で統一したがるそうです。 私たち日本人はまず色彩感覚のトレーニングからしなくてはいけない みたいですね(笑) さて、最後に黒の存在についてお話しましょう。 黒は抑制効果があるので、最も重要な色です。 例えば今回の絵ですが、もしも、手前の3つの建築物に黒を 全く使わなかったとしたら・・・?いかがでしょうか。 絵全体のしまりがなくなってしまいますよね。 黒はポイントとなる絵をぐっとひきしめる効果があるのです。 ということで、今回は色についてお話させていただきました。 次回は農民画の歴史について、お話させていただきます(つづく) (左:陸先生 右:コトー)〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
コトータケヒコ
上海在住の会社員。仕事の傍ら週末に金山に通い、
農民画家・陸永忠に師事。09年5月金山農民画院より
外国人第一号の金山農民画師に認定。日本農民画協会会員。
ホームページ(移転しました):http://nominga.net
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カテゴリー:金山農民画家への道