第一回 農民画との出会い
あれはもう何年前のことだったでしょうか。 仕事で上海に来た私は、お土産屋さんで 偶然一枚の絵を目にしました。 目の覚めるようなブルーの小川。 小川に浮かぶ無数の真っ白なアヒル。 川辺には水色や赤で彩られた農家が並び、 小川を一家を乗せた船が静かに進んでいく・・・。 絵のひとつひとつの構成物は、 子どもが描いたように平面的でシンプルなのに、 色彩は大胆かつ豊富で、強烈なインパクトを与えます。 絵全体の構成は一見無造作なようで、 実はよく計算されているようにも見えます。 ・・・こんな絵は今まで見たことがありません。 これが、 中国の農民画との初めての出会いでした。 農民画は、実際の農民が農村の日常や風景を描いたもので、 中国各地に存在しますが(その数約60とも言われています)、 発祥の地とされている陜西戸県と、上海金山のものが特に有名です。 もともとは1970年代に政治的なプロパガンダとして誕生し、 やがてそうした時代が終わると、農民たちは 「農忙種田,農閑作画(農繁期には農作を、農閑期には絵を描こう)」 と言って、思い思いに絵を描くようになったのだそうです。 どうやったら対象をあそこまでシンプルに描けるのだろう? あの強烈な色彩はどこからやってくるのだろうか? もともと絵を描くのが好きだった私は、 いつかその秘密を知りたい、 農民画を描いてみたいと思うようになりました。 そして、そのチャンスは2008年にやってきました(つづく)。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
コトータケヒコ
上海在住の会社員。仕事の傍ら週末に金山に通い、
農民画家・陸永忠に師事。09年5月金山農民画院より
外国人第一号の金山農民画師に認定。日本農民画協会会員。
ホームページ(移転しました):http://nominga.net
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カテゴリー:金山農民画家への道