本の読み方を考える コーヒーは熱いうちに飲まなければいけない?

本の読み方を考える コーヒーは熱いうちに飲まなければいけない?

2007.09.25

「本の読み方を考える コーヒーは熱いうちに飲まなければいけない?」

「野村さん、コーヒーの礼儀って知ってます?」
先日スタッフからそんな質問を受けた。礼儀というからには国々の土着的な
コーヒーの飲まれ方のことを言っているのかと思いきや、そういうことではなく、
一般的(?)に、共通する(?)礼儀があると言う。

よくよく話を聞いてみると、ある本にこう書かれていたらしい。
1、まずはお水を飲むこと
2、コーヒーは熱いうちに飲むこと などなど
それが、コーヒーの礼儀であると。

中国人スタッフからの質問なので、言葉の選び方の問題はあるとしても、気に
なったのは2の部分。

「コーヒーは熱いうちに飲むこと」

この文章に関しては、本の書き手の背景を考えないと間違いの可能性が出て
くる。(案の定、最初スタッフはそれが正しい!と言い張っていたので、、笑)

本などに書いてあることは、ある意味で正しく、ある意味で正しくない。
さまざまな本があり、さまざまな表現がある中でも、内容的には実は同じこと
を言っているものが多い。それはタイトルが変わっていたり、問題についての
見方の角度が少し変えてあったりするだけのこと。

大切なことは、正しいとか正しくないということを論じるのではなく、なぜ
それがその表現(ここで言えば「コーヒーは熱いうちに飲むこと」)になって
しまったのかを考えることではないだろうか。正しいか正しくないかという
のは、その人がどの立場で物事を見ているかによって、答えは180度変わって
くるもの。

さて、では考えてみましょう。

なぜ、コーヒーを熱いうちに飲まなければならないとの表現になってしまう
のか? その答えを見つけるためには、一般的に「冷めてしまったコーヒーは
おいしくない」と言われていることも同じく知る必要があるかもしれません。

コーヒーが冷める、、つまり、時間が経過してくるとおいしくなくなる原因は、
生豆の質が悪かった、焙煎が悪かった、あとは、コーヒーの抽出(作り方、
淹れ方)が悪かったことが考えられます。

生豆の質が悪かった、焙煎が悪かったに関しては、ちょっと話がずれてしまう
ので後日にするとして、、問題をシンプルにするために、いい珈琲豆(生豆の
質もよく、焙煎もうまい珈琲豆)を使ってコーヒー作ってみたとしましょう。

では、いい珈琲豆を使ってコーヒーを作ってみます。
それだけのことなのに、何がそんなに味に影響を及ぼすのか?

コーヒーの作り方というのも、いろいろなものがあるのですが、そのほとんど
のものはコーヒーの濁り成分が出てきてしまうもので、この濁り成分という
ものが、コーヒーが冷める(時間が経過してくる)とおいしくないと感じて
しまう原因です。

なぜこの濁りの成分が出てきてしまうのかという問題は、いろいろなコーヒー
の作り方をして、飲み比べしてもらうときっと誰でもわかってもらえる(今
までの経験上)なのですが、、なにぶん文章では伝わりきらないのが悲しい
ところです。ブログで香りや味の違いを伝えられないのが残念でなりません。

濁りの成分が出てきやすいか、出てきにくいか、、、

それは『お湯を注ぐときに珈琲粉を動かすか動かさないか』ということに関係
しています。できるだけ珈琲粉を動かさないようにして、濁りの成分を出さ
ないようにコーヒーを作る方法では、松屋式ドリップという作り方があります。
【松屋式ドリップ抽出の手順】おいしいコーヒーを入れよう!
http://plaza.rakuten.co.jp/hicafe/2016

この松屋式ドリップの理論を使って作ったときには、冷めたり、時間が経過
しても、そんなに味の劣化はおこらないのです。(うまくできればの話。。)

松屋式ドリップと、よくある3つ穴式(台形で3つの穴があいてるもの)で
基本的な作り方をして比べてみると驚くほど違うことがわかります。 文章
では伝わりきりませんけど。。。

3つ穴式の基本的な抽出方法では、どうしても粉を動かしながらコーヒーを
作ることになりますので、、つまり、濁りの成分が必ず出てしまうことに
なります。濁りの成分が出てしまうということは、時間の経過とともに、味
が変化してしまいやすくなってしまうということになるのです。

はい、文章だとほんとややこしいです。

つまり、、コーヒーの作り方によっては、味が変化しやすい作り方と、味が
変化しにくい作り方があり、「冷めたコーヒーはおいしくない」と世間では
言われてはいるものの、冷めても(時間が経っても)十分においしいコーヒー
を作ることもできるということも覚えておいたほうがいいです。

そして、このようなコーヒーの作り方と言っても、味に随分違いがあること
さえ知らなければ、どこかで聞いたような片方だけの情報に流されてしまい
ます。

つまり、こんな図式が成り立ってしまうのかもしれません。

「冷めたコーヒーはおいしくない」=「コーヒーは熱いうちに飲まなければ
ならない」

こんな図式が頭にある人が、本を書いてしまえば、上記のようなん表現に
なってしまうのは仕方のないかことです。(書いている人を見てみるとその
お店では3つ穴式ドリッパーを使った基本的な抽出方法だったことからも
明らかかと思います。)

このように、なぜその表現方法になるのかは、その人がどんな立場で論じて
いるかによります。それを理解した上で本などを読んでいかなくては、ただ
目の前にある情報に流されることになってしまいます。

今回のことは、うちのスタッフがコーヒーのプロとしてお客さんに説明する
ときに、何が足りないのかを物語っていました。

物事の本質を理解しなければ、教えられたことだけ、どこかに書かれていた
だけ、、、つまり、受け売りの知識を安易に論じてしまう(それも一応プロ
として。。)表面的なものだけになってしまう問題が含まれていることだと
思いました。

人に教えていくこと、伝えていくことは簡単ではありませんね。
だからこそ、しっかり考えた上で、伝えていくことが必要なのでしょう。

2007.09.03

アルトノイラントコーヒー 野村浩哉
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2004年4月 アルトノイラントコーヒー設立。現在は、珈琲教室や
さまざまなパーティー・イベントでのコーヒー提供、店舗へのアドバイザー
なども務める中、時間のある限り自らが電動自転車にまたがりコーヒーを
宅配している。
■ 北外灘店:上海市虹口区 北外灘呉淞路30号<<上海大厦裏>>
Tel: 021-6393-0053(珈琲豆配達可)
・http://plaza.rakuten.co.jp/hicafe/http://www.alt-coffee.com/
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